原発の再稼動と安全審査を分離せよ

2014年03月01日 11:34

けさの「朝まで生テレビ」では、意外にも再稼動の審査なんか存在しないという点で飯田哲也氏・田坂広志氏と澤田哲生氏・木元教子氏・私の意見が一致した。これは関係者には常識だが、いまだに「再稼動の審査」と書くメディアが多い。


政府も誤解している。安倍首相は「原子力規制委員会が安全と判断した原発は再稼動する」と言っているが、委員会は新しい規制基準に適合するかどうかの安全審査をしているだけだ。早ければ来週にも合格の第1陣が出るようだが、それは再稼動のお墨つきではない。

だからJBpressにも書いたように、今でも政治が判断すれば再稼動できる。3年前に菅首相が違法に止めたので、正常化に必要なのは政治決断だけだ(細かくいえば保安規定認可や使用前検査が残っているが、簡単にクリアできる)。内閣が「動かす」と決めれば、今でも再稼動できるのである。

逆にいうと、今できないことは安全審査の結果が出てもできない。野党やマスコミは反対するだろう。地元の同意も法的には運転の条件ではないが、政府が地元を説得できないと協力は得られない。今まで政府は規制委員会に責任を押しつけて逃げてきたが、これからは安倍首相が判断しなければならない。

番組のアンケートでは70%以上が「再稼動するな」という意見だった。このまま廃炉にしろというのが国民の意思なら、国会で「即時廃炉法」をつくって廃炉にすべきだが、本当にそういう合意があるのか。「廃炉にしろ」と騒いでいる人々はそのコストがゼロだと思っているのだろうが、国が償却期間の残っている原発を強制的に廃炉にするには残存簿価の国家賠償が必要だ。その総額は全国48の原発を合計すれば10兆円以上になるだろう。

ドイツのように10年以上かけて議論した上で原発をゼロにするという国民的合意ができるなら、それも一つの道だが、なし崩しにすべての原発を止め、そのまま政府が強制的に廃炉にするのは財産権の侵害である。原発は安全審査と切り離して運転し、長期的なエネルギー政策は時間をかけて議論すべきだ。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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