日本はウクライナに足元をすくわれてはならない --- 岡本 裕明

2014年03月03日 12:48

ウクライナの情勢の緊迫度が高まってきました。現在の最大のポイントはウクライナの中のクリミアという黒海に突き出したこの半島の行方でありましょう。ここはもともと親ロ派が多く住んでいるとされ、ウクライナの政変によりロシアに救いの手を求めていました。それも踏まえ、ロシアはいよいよ軍事介入することになったというのが最新の状況かと思います。


クリミア半島の地図をじっくり見るとよくわかるのですが東に突き出た半島はロシアと黒海を隔ててほんのわずかの距離であります。つまり、歴史的にも地政学的にもロシアの影響は多大であったといえるのでしょう。ロシアもウクライナを分離独立させたものの国民がすべてそこで過去を断ち切り、双方の国に分かれるというものではありません。それは朝鮮半島を見てもドイツが東西に分裂していた時もそうだったでしょう。

私の認識ではこのような歴史を辿ると必ずあと後、反動が生じるものなのです。

では、非常に大所高所から考えてこの先、どうなるのでしょうか?

もちろん、欧米とロシアの関係が悪化することは間違いないでしょう。プーチンとオバマ両首脳の電話会議はかなり荒れたようでオバマ大統領はかなり強硬な姿勢をとった発言をしています。それでもプーチンはクリミアへの軍事介入は絶対に止めないし、欧米は一定の制裁を考えているはずです。

では、この状況でもう一人頭を痛めている人は誰でしょうか? 安倍首相ではないかと思います。それは北方領土問題を含むロシアとの平和条約締結に向けた各種のシナリオが完全に狂う可能性が出てきたのであります。

安倍首相は他の欧米首脳がキャンセルする中、ソチオリンピックに顔を出し、プーチンと首脳会談までこなしました。安倍首相の対ロシア外交への熱い思いが伝わってきました。もちろん、ウクライナ問題に関し、日本は外交上直接関係はないのですが、プーチンは日本との交渉の優先度を下げる可能性があると思います。そして日本も下手な動きが取れなくなるとみています。

まず、ロシアからすればクリミア問題に全精力を傾けるでしょう。そして、来るべく欧米との様々な問題に立ち向かわねばなりません。つまり、今年こそは東部ロシアに力を注ぐはずだったのに再び、西に注力する必要になってしまったのです。

次に日本側とすれば今、容易にロシアと外交交渉をすればアメリカの日本への圧力は相当なものなります。もともと北方領土問題が進捗しなかった理由の一つが外務省内でアメリカスクールからの強いけん制とも言われていましたから、今、下手な動きをすれば日本の外交はがたがたになってしまうのです。

アジアを取り巻く外交関係が非常に複雑になってきた根本原因はアメリカの外交力の衰えと日中韓のそれぞれのトップが変った瞬間、お互いがお互いの外交力を誇示しようとしたところにバランスを崩してしまったというのがもっとも簡単な表現だと思います。つまり、お互いが好き勝手をしているからボトムラインがない状態ともいえるのです。

安倍首相はもしかしたらオプションの一つである「だからこそ、今、ロシアは日本と手を結ぶ」という選択肢を取ればそれは戦前、日本がドイツと同盟を結んだのと同じ結果を招く可能性があります。ここは非常に注意深く、焦らずに情勢を見守るしかないでしょう。

ウクライナについては私は落ち着くところに落ち着くと見ています。クリミアもその人たちがロシアを喜んで迎え入れているのですから欧米といえどもそう簡単に手出しできないでしょう。では戦争という最悪の事態は想定されるか、といえばそれはないとみています。そんなことをすれば朝鮮半島をめぐる日本とかの国の歴史を再現するようなものであります。私は一定の時間が経てば収まるところに収まるとみていますし、そうでないと非常に困ります。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年3月2日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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