人種差別横断幕を掲げた犯人の処罰が軽すぎる

北村 隆司

サッカーJリーグの浦和-鳥栖戦の試合会場で人種差別的な内容の横断幕が掲げられた問題で、Jリーグが浦和に対し次回のホーム試合を無観客戦とする制裁を科した事は、日本で流行り出したヘイトスピーチ防止に何ら有効な対抗措置が取られていない時期だけに、良識を示すものとして歓迎したい。


横断幕の存在を知りながら試合終了後一時間も横断幕を放置していた浦和が、無観客試合で興行収入を失う処分を受ける事は当然としても、この事件と無関係な浦和のサポーターが、一試合とはいえホームでの観戦機会を奪われた上に、次節の広島戦からホーム、アウェーを問わず、横断幕、フラッグなどを掲出することを禁止される処罰を受ける事は、何か江戸時代の連帯責任を思わせるやり方で、再発防止策とは言え感心しない。

善良なファンの一人が「横断幕の内容自体があまりにも不適切だったので、重い処分にしないといけないと思う。処分をしてもらう方がこういうことが無くなる」とファンとしての責任を感じている事を思うと尚更である。

一方、スタンド内で差別的発言をしていたという複数の証言を確認した後に横断幕を掲げた三人組みが事情聴取された際、「熱狂的なファンが集まるあの場所は自分たちの聖域で、そこに外部者が入りむ事は統率が取り難いのでこの横断幕を掲げただけで、人種差別の意図も政治的な思惑もない」とうそぶいたと言う。

なんの反省も謝罪の言葉もなかった犯人に下された処分が「無期限の活動停止と浦和が出場する全試合で入場禁止」では余りに軽すぎる。

この際、見せしめとの批判はあっても、反省もなければ謝罪の言葉もないこの三人の犯人の氏名を公開してでも、社会的責任を問う事が必要ではなかろうか?

いじめ事件の処分でも顕著に表れているように、加害者の人権に甘く、被害者が泣き寝入りさせられる最近の日本の風潮は、この辺で断ち切るべきである。

2014年3月13日
北村 隆司