羽田を「楽しいハブ空港」にせよ --- 岡本 裕明

アゴラ

山手線日暮里駅。京成スカイライナーの切符を2400円でゲットして飛び乗るその車内が混んでいた試しはほとんどありません。ゆったりと乗れるという点から乗客としては嬉しいのですが、新幹線と同じ足回りの最新鋭の車両で時速160キロのサービスに対する会社のリターンがはて、どれ位あるのか、思わず心配したくなります。


そういえば最近は価格と時間面から乗らなくなったJRの成田エキスプレスもなぜか外国のパスポート所有者に限り何処でも1500円なる割引チケットを販売しています。この価格は出発場所にもよりますが大体半額以上の割引になります。遠い成田へスピードと価格で鉄道会社も必死のマーケティングということでしょうか?

それを横目に3月30日から羽田の国際線枠拡大で欧米の長距離線も利便性の良い時間に利用することが可能になります。私も次回の東京行きは羽田を試してみる予定です。多分、全く違う雰囲気を感じるかもしれません。それは機内の乗客であります。

以前も申し上げましたがバンクーバー線はドル箱路線だと思うのですが、理由は乗客の多くが非日本人である点でしょうか? 実は前回、成田に着いた際に非常に珍しい「事件」に遭遇しました。飛行機の荷物室のドアが凍り付いて開かないという珍事であります。年に数回あるようですが、今回は2時間半待っても結局開かず、荷物は後に宅配されました。その際、飛行機は85%ぐらいの搭乗率だったはずですが、そこで荷物を待つ人は50人もいなかったかもしれません。

北米からインドを含む直行便のない地域などへは成田をハブとしているからでしょう。最近は乗客もインド人がめっきり増えて機内食もハラルやベジタリアンがあちこちで提供され、気のせいか、一般食もカレーを食材に使ったものが多い気がします。つまり、成田をベースにする飛行機には新たなる生き方が求められるということでしょう。

一方羽田については国内のハブという役割を果たすことが可能になります。今まで地方空港には成田で一泊などということもよく聞きましたが羽田になれば少しは改善されるでしょう。むしろ、それまで韓国のソウルあたりが日本の地方空港のハブになっていたのですがこれが一気に羽田にシフトすると考えてもよさそうです。これは日本経済にとっては極めて有効なインパクトとなるはずです(当然ながら韓国線は地方を中心に減便されるかもしれませんが)。

つまり、日本の長年の夢であったハブ空港が名実ともに稼働し始めるということかと思います。この10年以上、日本はアジアの主要空港の中でその地位が徐々に後退し、アジア各地に作られる巨大空港に乗降客をさらわれていました。

私はハブ空港として今後必要だと思うのは空港が「楽しく」あるべきだと思います。それは様々な施設があり、長時間の待ち時間でも退屈しないで過ごせる場所を提供できるか、ということです。

例えばフィットネスセンター、サウナ、日本式ふろ、映画館、アーケード、子供のプレイエリア及び託児所、日本文化や食品などを紹介するセンター、祭りや商店街のモチーフ、地方物産の販売、秘書サービスがある様なより使いやすいビジネスセンター、仮眠室(ロンドンには時間ごとチャージされるカプセルホテルがあったはずです)などなどいくらでもアイディアは浮かびます。ところが成田空港がいつもつまらなく感じるのはそこに存在する店がありきたりのレストランと土産物店、免税店しかなく興味ない人には全く素通りになってしまうということであります。だいたい第二ターミナルは出国手続きを終えたベストロケーションにJTのアンテナショップですから私には不動産価値の創造という点からは最低だと思っています。それこそ渋谷の109あたりの運営方法を研究していただきたいと思います。

ハブ空港とはまさにホスピタリティの固まりである、という発想のもとに空港の運営という観点からわくわくする空港という領域に一歩踏み出していく必要があるかもしれません。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年3月25日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。