「内閣人事局」はあってもなくても同じ --- 石川 和男

アゴラ

昨日、内閣による中央省庁幹部職員人事の管理機能の強化などのための「国家公務員法等の一部を改正する法律」が成立した。“600人の適材適所”という常軌を逸したこの制度変更の趣旨は虚妄としか言いようがない。それはさておき、この法律は次の3本柱からなる。


1) 幹部職員人事の一元管理等:

職員の育成・活用を府省横断的に行うとともに、
幹部職員人事の一元管理を行う。

2)内閣人事局:幹部職員人事の一元管理等に関する事務を担うとともに、人事管理関連制度について企画立案、方針決定、運用を一体的に担う内閣人事局を設置する。
3) 内閣総理大臣補佐官・大臣補佐官:国家戦略スタッフ、政務スタッフに関する措置として内閣総理大臣補佐官の所掌事務を変更するとともに、各府省に大臣補佐官を置くことができることとする。

上記の3本柱のいずれも、現行制度でも十分に対処可能である。主要各紙の報道ぶりは以下の通りだが、やはり“内閣人事局”に関心が集まっている。内閣人事局という器をどのようなものにしようが、政治が官僚人事に真剣に介入すれば何だってできるし、そうしなければそうできない。

・日本経済新聞:「官邸人事」で政策遂行 内閣人事局が5月発足、官僚身構え  

・読売新聞:【社説】 公務員改革法 官邸主導の人事が試される 
・毎日新聞:【社説】内閣人事局 機能するかは運用次第
・朝日新聞:省庁人事、強まる官邸主導 内閣人事局発足へ、中立性に懸念

以上、主要マスコミ各社とも、内閣人事局の機能が発揮されるかどうかを焦点にしているようだ。しかし、霞が関内部にいた経験から考えると、今回の改正法を施行しようがしまいが、現行制度下でも政治主導人事は十分可能だ。

別の寄稿で書いたように、真の意味での省益排除や縦割り行政打破を目指すならば、官民交流の拡大や民間人チームの登用といった現行制度下でできる、地味だが実効ある人事の積み重ねが最も合理的である。

朝日新聞記事のように、『公務員の中立性』に関する懸念を表明する向きもあるが、公務員の中立性とは、政策企画面での中立性ではなく、行政執行面での中立性である。これを理解していないと、政治主導人事の意義も理解できようがない。

今後の公務員制度については、大げさな法律改正を伴う“改革競争”はやめて、公務員制度の運用面での地道な「改善競争」をしていくことが肝要だ。その方が、費用対効果が高いし、よほど大きな変革をもたらすと確信する。


編集部より:この記事は石川和男氏のブログ「霞が関政策総研ブログ by 石川和男」2014年4月14日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった石川氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は霞が関政策総研ブログ by 石川和男をご覧ください。