ドイツの電源構成 ~ 日本が雛形にする“脱原発”の国の本当の数字 --- 石川 和男

アゴラ

日本で“脱原発”が叫ばれる時、しばしばドイツが雛形として語られる。ドイツが2022年までに原子力発電を段階的に廃止することを掲げているからだろう。これが日本で蔓延している大きな誤解の素になっている。


BDEW(ドイツ連邦エネルギー・水道連合会)の資料によると、直近2013年と2012年の電源構成は下に貼付した図表の通り。

即ち、当面は一定程度の原子力発電に依存することになる。2012~2013年の原子力比率は15~16%程度、石炭は44~45%程度、天然ガスは11~12%程度、再生エネは23%程度である。

2022年というとまだまだ先の話なのでわからないが、少なくとも、当面のドイツは“脱原発”しないことになる。日本は、ドイツのこうした政治的な強かさを持つ必要があるかもしれない。本来は資源無き国の政治判断で十分なのだが、今の政権は支持率の割には原子力に関する英断をしないようだ。

“脱原発”を宣言していながら“脱原発”をしていない国と、“脱原発”を宣言していないのに“脱原発”擬きをしている国。いずれもエネルギー高コスト構造で喘いでいる。

しかし、少なくとも、再生エネの技術的ブレークスルーを迎えるまでの『原子力発電による一時凌ぎ』をしているドイツの方が日本よりも遥かに強かである。日本がドイツから学ぶべきは、こうした強かさであって、“脱原発”擬きで国民にエネルギー高コスト構造を不当に強い続けることではない。
ドイツ2013
ドイツ2012

<註>
Erdgas:天然ガス、Erneuerbare:再生可能エネルギー、Kernenergie:原子力、Braunkohle,Steinkohle:石炭


編集部より:この記事は石川和男氏のブログ「霞が関政策総研ブログ by 石川和男」2014年5月6日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった石川氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は霞が関政策総研ブログ by 石川和男をご覧ください。