オーストリアで教会建物が壊されている --- 長谷川 良

2014年05月10日 08:59

アルプスの小国オーストリアはローマ・カトリック教国だが、その教会建物が破壊されたり、いたずら書きされたり、火を付けられるといった被害を蒙っている。教会関係者ばかりか、国民も不安を感じてきた。
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▲オーストリアのローマ・カトリック教会の精神的支柱、シュテファン大聖堂(2014年5月5日、ウィーンで撮影)


首都ウィーンは音楽の都として世界各地から多くの観光客が来るが、同国カトリック教会の主要拠点で観光名所の一つ、カールス教会(Karlskirche)の正面建物や十字架像が5月4日未明、何者かにペンキをかけられ、落書きされた。同教会はカールスⅥ世が1713年、流行するペストの終焉を祈願して建立された由緒ある教会建物だ。

同じ時期、同国西部のブレーゲンツ市にある教会の入口に何者かが火をつけるという放火未遂事件が発生したばかりだ。早く発見されたので大きな被害はなかったが、警察側は「教会関連施設への破壊行為」として警戒を強めている。

オーストリアでは今年に入り、教会建物や施設が破壊されたり、傷づけられたりするケースが増えてきた。3月から4月にかけ、難民のガーナ人が6カ所の教会建物や聖母マリア像などを破壊している。

同国では過去、ユダヤ教のシナゴークや墓が破壊されることはあった。また、教会建物内の備品や歴史的な像が盗まれることもあったが、今回のように破壊されたり、火をつけられるといった事態はなかった。

増加する教会関連施設への破壊行動を防止するため、同国教会最高指導者シェーンボルン枢機卿は教会建物内外に監視カメラを設置する案を検討しているが、信者の中には「信者の祈祷姿などがカメラで撮られるのは……」といった反対の声も出ている。
 
社会学者の間ではクリスチャン・フォビアという用語が使われている。キリスト教一般への憎悪だ。米国内多発テロ事件2001年9月11日以後、イスラム教への嫌悪感が欧米社会に拡大し、イスラム・フォビアと呼ばれたが、ここにきてクリスチャン・フォビア現象が出てきたというわけだ。

特に、イスラム教圏で少数宗派のキリスト信者への迫害が激化してきているが、イタリアのトリノの社会学者マシモ・イントロヴィニエ氏(Massimo Introvigne)は「キリスト教一般への嫌悪現象がここにきて西側社会でも目撃されるようになった」と指摘している。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年5月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。


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