新卒就職率90%超と3年以内離職率30%を考える --- 山口 俊一

2014年05月25日 11:54

厚生労働省、文部科学省の発表によると、今春卒業した大学生の就職率(4月1日現在)は94.4%で3年連続の上昇、高校生の就職率(3月末現在)は96.6%で4年連続の上昇だったという。


一方、厚生労働省が昨年秋に発表した、新規学卒者の入社3年以内の離職率は、大卒31.0%、高卒39.2%と、こちらも前年より増加している。

入社3年以内の離職率の推移
3年以内離職率 の推移

 
これら2つの調査からは、政権交代後の景気回復により、企業の求人意欲が増したことで、新卒者の就職や若年層の転職が増えている傾向が伺える。離職率の増加に関しては「ブラック企業が増えたからだろう」という見方もあるかもしれないが、そんな急に企業体質が変わったりしない。むしろ、潜在的離職者が転職しやすい環境になったから、と捉える方が妥当だろう。
 
新卒で就職希望者のうち95%前後が就職して、入社してみたら合わなくて早期(3年以内)に辞める人が大卒で30%前後。

これらの数字をどう見るかだが、ほぼ妥当なところではないかと思う。

もちろん、就職を諦めて仕方なく大学院や専門学校に進む人や「家事手伝い」になる人もいるので、実際の就職希望者に対する就職率は9割弱かもしれない。しかし、大卒の求人倍率が2001年以降で1.0を下回った年はないので、理屈上は、企業を選ばなければ全ての学生がどこかの会社には就職できることになる。新卒者の就職難が伝えられる中国や韓国と比べるまでもなく、この値は合格点だろう。

一方で、早期退職者の中にも、その会社が嫌で辞める人の方が多いだろうが、より希望の条件に合う企業にキャリアアップしたり、資格にチャレンジするためといった前向きな理由で辞める若者もいる。まあ、20代で1~2回の転職経験なら、再就職についても大きなハンデにはならない。事実、入社3年以内3割退職という数字自体は、ここ20年来ほとんど変化がない。

早期離職率については、むしろ企業間格差に注目すべきだろう。1つは規模差、もう1つは業種ごとの格差だ。

企業規模別の離職率を見ると、予想以上の差がある。大卒の場合、1,000人以上の大企業では約2割だが、30名未満の零細企業だと5割を超える。

企業規模別の入社3年以内離職率
規模別 離職率

また、業種別でも、製造業は2割弱だが、小売業で4割弱、宿泊・飲食業や学習塾などの教育支援業に至っては5割前後に跳ね上がる。

主な業種別の入社3年以内離職率
業種別 離職率

では、少しでも離職率を低下させるには、どうすればいいのだろうか。

エン・ジャパンが数年前に調査した「3年以内に退職する人の退職理由」では、「聞いていた仕事内容と違う66%」が圧倒的で、次いで「会社の雰囲気が合わない34%」「上司と合わない19%」「残業・労働時間が長い16%」が上位を占めている。

2番目以降は一朝一夕に変えられる要素ではないが、第1位の「聞いていた仕事内容と違う」というのは、企業はすぐに改善可能だ。入社前に、十分に会社と仕事内容を知ってもらうということ。「仕事内容を正直に言ったら、学生が入社してくれないよ」という声もあるだろうが、とりあえず採用数だけを確保しても、すぐに辞められては募集コスト、初期教育コスト、既存社員への悪影響などマイナス面が大きい。

学生も会社も、相手をよく確かめた上で入社(採用)を決めること。

できることなら……。

山口 俊一
株式会社新経営サービス
人事戦略研究所 所長
人事コンサルタント 山口俊一の “視点”

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