危機感が薄いウナギ資源問題

アゴラ編集部

今年はシラスウナギが「豊漁」だそうで、各メディアが「今年のウナギは値下がりか」と騒いでいます。しかし、ウナギ資源は一朝一夕で回復するものではなく、今年は「豊漁」とはいえ、1970年代の1/5、1980年代の1/2以下、となっています。一説によれば、地球温暖化でシラスウナギの沿岸到達域が変化しただけ、という話もあるんだが、2013年2月には環境省もウナギを絶滅危惧種に指定したほどで、いずれにせよ資源が枯渇しつつあるのは確かです。


この理由はいろいろ考えられるんだが、やはり沿岸部におけるシラスウナギと天然親ウナギの獲り過ぎが大きいと言われています。仮にウナギ漁を全面禁止にし、東アジア各国が連携して資源保護にあたったとしても、資源を回復させるにはかなり時間がかかり、すぐに天然物が戻ってくるのは期待薄。その一方、シラスウナギの禁漁期間があるのは、漁獲上位の宮崎県と鹿児島県のみ。また、他県ではシラスウナギの網漁だけが禁止されている、というところもまだ多いようです。

ウナギの完全養殖も実現間近と言われる中、資源保護の声も次第に高まってきているのは事実でしょう。しかし、各メディアは、なぜか土用の丑の日が近づいてくると、ウナギの蒲焼きの話題を出すことに余念がない。ウナギ好きを自認する記者さんたちも、資源に対する危機感はどこか薄いようです。

THE PAGE
吉野家、鰻丼(うなどん)6月から発売。昨年より並盛50円アップ

In case of a Russian invasion, Estonia is uploading its government to the cloud
QUARTZ
旧ソ連邦でロシア後に離脱した諸国は、いまだに汎ロシア主義的なものに怯えています。これはウクライナをみればよくわかる。ロマノフ王朝時代から、いやジンギスカンのころから周辺少数民族は巨大帝国の覇権の脅威にさらされてきた。この記事では、エストニア、というバルト三国の小国がロシアの圧力にどう対抗しているか紹介しています。一つの例は、デジタルインフラのセキュリティ。ロシアからのサイバー攻撃に様々な手段で防護柵を講じているらしい。大国に隣接する小国はしたたかです。

東工大,CO2をCOに高効率で還元するRu-Re超分子錯体型光触媒を開発
日経テクノロジー
エネルギー問題の解決は、これからの人類の存亡に関わる重要な課題です。原子力を含め、克服しなければならない技術的なハードルはいくつかあるんだが、「人工光合成」は「永久機関」とともに研究者らの大きな見果てぬ夢でしょう。もしも「人工光合成」が実用化されれば、エネルギー問題のみならず、二酸化炭素問題も解決する、というまさに夢のような技術。しかし、これがなかなか難しい。世界中の研究者が血眼になっているんだが、日本もかなり先行しているようです。

This WWII veteran on ultimate wait list: He gets benefits after 68 years
FOX NEWS
従軍記録を失った米国の元軍人が、ようやく恩給を得ることになった、という記事です。この人、第二次世界大戦中、アリューシャン列島で魚雷艇に乗り、さらに「カミカゼ」の攻撃を受け、南太平洋へ転戦。腕と足を失い、深刻なPTSDにもかかっていたらしい。体の中には今でも空港の金属探知機に引っかかるほどの榴霰弾の破片が残っているそうです。

The Five Biggest Threats To Human Existence
POPULAR SCIENCE
人類の存亡に五つの大きな危機がある、という記事です。まず、核戦争、ウイルスなどの病原体、人類を越える人工的な知能生命体、つまりロボット、さらにナノテクノロジー。このナノテクノロジーの脅威は、マイケル・クライトンのSF小説『プレイ─獲物(Prey)』(2002年)などでも描かれているように、自己複製機能を獲得したナノマシンが人間を襲う、という話です。最後の危機は「未知のもの」という落ち。人類は既知のものならなんとか対応できるかもしれないんだが、未知のものへの対抗はさすがに「未知」です。


アゴラ編集部:石田 雅彦