むしろ「ワーカホリック」になれ --- 岡本 裕明

2014年06月11日 17:44

ワーカホリック、つまり、仕事中毒の人のことを指しますが、一般的には好ましくない意味で使われます。この言葉はアメリカの心理学者、エドワード・オーツが1971年の著書で使い始めたもので、それ以来、特に日本人の「過労死」などと抱き合わせて働き過ぎは良くないと新興宗教のごとく信じられています。私も昔、カナダ人から「週末どうしていたの?」と聞かれれば「仕事」と答えると「あなた、死んじゃうわよ、過労死で」としばしば言われてたものです。心の中でこれぐらいで死んでいたら日本人はとうの昔に終わっているはずなのに実際は世界でも有数の長寿国ではないか、と思い返していました。


中毒という言葉そのものに過激性があるのですが、日本人が皆、その危険な領域に入るほど仕事をしているかといえばそんなことはありません。何度かお伝えしているように日本人の年間就労時間は統計上はOECDの平均を下回っていますのでそこまで働き過ぎの状況が生じているとは考えていません。一部のマネージメントクラスや飲食系など人材不足が顕著な業界では暴力的な労働をしているケースを見かけますが、これは例外であり、それが日本人の代表的働き方とされては困るかと思います。

一般に「働き過ぎ」には二通りあり、一つは自分で好きな研究や業務に打ち込み、知らぬ間に時間が過ぎていたという能動的ワーカホリックとシフト仕事で今日は14時間勤務といった受動的で強制労働に近い状態の場合があるかと思います。この受動的労働はワーカホリックとは言えません。なぜなら、ホリック(-holic)とは中毒を表す意味であり、中毒になるのは自分が好きでその世界にはまっていくことでありますから人から強制される場合は違うのです。

定年間近の人が仕事人間だったから会社に行かなくなると自分を見失う、ということはよく言われることです。しかし、仕事人間とワーカホリックも若干違うと思います。仕事人間は目の前にぶら下がった課題、業務を次々とこなすタイプでいざ定年を迎えて目の前の「餌」が無くなった時どうしてよいかわからない、ということでしょう。ワーカホリックの人はむしろいつも「餌」を探し求めている人なので仕事という餌が無くなったら割と簡単に自分を切り替えることができるのではないでしょうか?

つまり、自意識を持って追及、探究をしている人はやることが尽きないし、結果としてぼけないし、健康でいられると思うのです。

若い人も週末はゴロ寝とテレビやDVDを漫然と見て過ごすという人は多いでしょう。そういう人たちは「ずっと忙しくて働き過ぎで疲れたから」と理由づけるでしょう。ですが、私は違うと思います。本当は自分のやりたいことが分からず、ただ、この仕事をしないと上司に怒られ、給与が貰えず、仕方なく仕事をした結果、週末にようやく解放されたということではないでしょうか?

むしろ、週末こそ普段しないこと、例えば、フィットネスでもよいし、友人と過ごす、読書に没頭する、空気がきれいな近郊の海や山に出掛けてみるなど非日常をはめ込むべきだと思います。そうすれば日々の生活にメリハリができるとともに能動的発想ができるようになるかもしれません。

若い人たちへ「これから10年後にどうなりたい」という私の質問に対して明白な目標を示してくれた人はあまりいません。自分で何をやりたいか分からないという人ばかりです。理由は仕事が惰性であるため自分の成長や変態を考えることすら忘れてしまっているのです。何故惰性になるか、いろいろ理由はあるでしょう。その中で日本社会の構造そのものの問題があることも事実です。多くのスタッフや現場マネージャーですら、権限は無いか極めて限定されており、人間を機械同様の扱いしかしないのです。いわゆる洗脳型の労働方式であり、これは何百年も続く独特のスタイルであります。

こう考えれば狭義の意味でのワーカホリックになれる人は案外少ないでしょう。が、それらの人達こそ前向きで創造力と実行力をもって日々の生活を享受し、「健康で文化的な最高水準の生活」を長く営むことができるのではないでしょうか?

人の才能を引き出すのは実に難しいし、従業員がたくさんいる会社であればあるほど没個性化を業務効率の要とします。あなたがもし、ワーカホリックになりたいなら自分の可能性を引き出してくれるような会社を探すことです。自分の生き方が分からない、何がしたいかわからない人に仕事って楽しいと思ってもらう仕組みが日本には欠如している気がしてなりません。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年6月11日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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