ベネッセとジャストシステムの事件から学ぶべきこと --- 岡本 裕明

2014年07月11日 12:46

ベネッセとジャストシステム。一躍悪役になった両社ですが、公開されている情報からすると両社とも被害者であります。株式市場はベネッセは約5%、ジャストシステムにおいては15%も下げているのですが、不幸としかいいようがありません。

報道を見る限りジャストシステムが受領した情報は文献社から、そして文献社はパンワールド社から入手し、その前は不明となっています。つまり、連鎖の過程で最終的にどこからの情報だかわからないものをジャストシステムが購入したということになります。


多分、法律的には善意の第三者ということになり、違法性を問われることはないはずです。但し、情報漏えい、不正アクセスなどが頻発している世の中においてジャストシステムのようなIT関連の会社がそのリスクがあるものを敢えて購入したという点においては同社の道徳心に疑問がついても致し方ありません。

私はかつて東京の不動産の売買を手がけていたわけですが、訳の分からない物件というのは必ず裏があるものです。そしてその匂いがあるものには手を出さないというのが鉄則でした。なぜなら、そこから発生するリスクは無限のものとなる可能性があるのです。そしてそういう情報は担当者であれば大体わかるものです。その点ではジャストシステムはずいぶん素人くさい失敗をしたと思います。

一方のベネッセ。こちらは深刻です。いまのところ社外のルートからの漏えいということになっています。ですが、仮にそうだとしても社外から会社の運命を分けるほどのリスクファクターを放置していたことに対する責任は免れられません。マクドナルドから第二の経営者人生を送るために6月21日の株主総会で99%の賛同を得た原田永幸氏。わずか2週間ちょっと後に深々と頭を下げる事態になるとは想像もしていなかったでしょう。そういう意味では同氏には責任はありませんが、事件処理という意味で非常に重い任務を任されてしまいました。踏んだり蹴ったりでしょう。

ベネッセを信頼していたというお母さま方に説明をするのはもっと大変かもしれません。それは人というのは失望した瞬間になかなかその誤解を含めた信用回復に前向きになれないからです。例えば、ふと入ったお店でとてもまずいものが提供されたらあなたは二度とその店に入ることはないでしょう。なぜならば他に選択肢がごまんとあるからです。教育に関してもベネッセの市場占有率は極めて大きいのですが、ベネッセシステムでなくてはいけないわけではなく当面我慢の経営になるかもしれません。

大手企業とはまさに信頼が全てであり、「この会社なら大丈夫だろう」という絶対的信頼の上に成り立っています。逆に言えば多くの消費者は無知であり、お任せできることに対してブランド料というエキストラのお金を払っているのです。今回、ベネッセが顧客に対して割引を提供するというのもそのエキストラの価値を還元することに他なりません。

今回の事件、巧みな技術でその情報を抜き取った犯人が責められるわけですが、パソコンおたくが小銭稼ぎにやったというのが真相ならば小銭の対価がとてつもない損害につながるこの社会の仕組みに思わずうーんと唸ってしまいたくなります。

社会とは常に戦いであります。その点、欧米は常に企業防衛ということが念頭にあるのですが、日本は脇が甘いと言われるかもしれません。ハッカーはそこに気がつき、日本を含むアジアにその矛先を向けていると言われています。最終的には消費者個々人がどれだけ自分を守れるか、ここに尽きるのかもしれません。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年7月11日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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