日本版カジノで得をするのは「官」と裏世界の外資 --- 岡本 裕明

2014年07月28日 15:00

日経新聞によると2020年までに日本にカジノを3か所ほどオープンさせる検討に入っているそうです。以前にも指摘しましたが今年の春の国会では法案可決を試みた超党派はまたしても失敗したわけですが、周辺環境は明らかに熟し始め、同紙7月27日の社説によると今秋にも可決する可能性を示唆しています。既に主な候補地だけで8か所上がっているようであり、その中で東京、大阪、沖縄という当初から言われていた場所が第一候補となっているようです。

また、シンガポールと同様、国内の人には入場料を課すことで敷居を上げる一方、外国人は入場無料として、外からのマネーを稼ぐ仕組みを作り出すようです。まさに日本のスロットマシーンとはこの課金システムにあると言ってよく、日本で初めてのカジノとしては良い取り組みかもしれません。


さて、この話が出てくれば当然、カジノに関わる企業群の名前が取りざたされ、再び、株価に刺激を与えることになるのでしょう。その関連銘柄をネットで検索して出てくる名前は確かに皆さんが知っている企業も含めなるほどと思えるのですがある一つが欠けています。それはカジノのオペレーターの会社は一つもないということです。

日本のカジノ関連企業は例えばスロットマシーンを作る会社であったり、両替機やセキュリティシステムやらというのが連想されますが、それを全て束ねて運営する会社は日本には当然ながらありません。想像ですが、日本でカジノができた場合、ほぼ確実に運営はいわゆるプロのオペレーターに任せることになると思います。主だった名前としてはサンズ、MGM、シーザース、ウィン、ゲンティン、メルコクラウンと言った名前が挙がっていますが、基本はラスベガスで経験を積み、世界中でその運営実績を広げている会社ということでしょうか? マカオのSJM、つまり、もともとスタンレーホー氏が独占していた運営会社もありますが、同氏の評判は「特殊」なので日本社会では受け入れられないはずです。

カジノの利権はオペレーターにあると言っても過言ではありません。つまり、政府や地方自治体が税金という仕組みで資金を吸い上げる一方、運営を通じた果実はオペレーターがほとんど持って行く仕組みになっています。よって、日本でカジノができたとしても儲かるのは「官」とアメリカ資本ということになります。スロットマシーンやセキュリティシステムを納入する会社は下請けであり、またしても「パーツ仕事」を日本が請け負うことになります。また、機械の入れ替えが仮に頻繁にあったとしても3か所しかない話ですから全体のボリュームは推して知るべしなのであります。

では日本でカジノオペレーターは育たないのでしょうか? 個人的には難しいと思っています。一部商社がオペレーターと提携する動きも見せていますが、あの業務は世の中の裏側にも精通し、運営に反映させなくてはいけない「特殊な能力」を持つ必要があり、日本社会の清廉潔白をよしとする中ではやっていけないでしょう。ましてや商社という信用をベースに仕事をしている企業がカジノに手を出すのはリスクが高すぎると思います。

実は私が勤めていた会社では当時、マカオにカジノ付ホテルをオープンするにあたりとんでもない問題に直面したことがあります。ほとんど知られていない事実でとても書ける内容ではありませんが、その「お手付き」の代償があまりにも高かったというだけは申し上げておきます。また、日本の裏社会の力量は世界では赤子の手をひねるぐらいのものであります。

だいたい歌舞伎町あたりではとっくの昔に日本のやくざが弱体化し他国の勢力下となっています。先日、赤坂のある店のオーナーが「みかじめ料(用心棒代)は中国の系統の方に払っています」というのを聞いてたまげてしまいました。日本やくざの弱体化は功を奏したものの外国勢力に対しては警察はコントロールしきれていないという事実はあとで禍根を残すことになるかもしれません。

日本のカジノ、まだまだ紆余曲折するとは思いますが、トレンドとしてはカジノはリゾート施設の「おまけ」ですから日本の強みはホテルや商業施設、エンタテイメントを含めた総合力で本当の力量を見せてもらいたいものです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年7月27日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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