人類は「エボラ出血熱」に勝てるのか

アゴラ編集部

エボラ出血熱(Ebola hemorrhagic fever)の流行が心配です。今年2014年2月から西アフリカのギニアやシエラレオネ、リベリアで、エボラ出血熱で最悪と言われる「ザイール株」による患者が多数発症し、WHOが3月から7月のエボラ出血熱の疑いも含んだ死亡者が672人になった、と報告。7月上旬までの死者数が500人超だったものが、一週間で100人以上も増えている。

シエラレオネ政府は、7月30日に緊急事態宣言を出し、感染地域を隔離する、と発表しました。地元の医師や世界各国から支援に入っている医療関係者の罹患も多く、これまで3カ国で約100人が感染し、半数が亡くなっているそうです。
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米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)の「Ebola Hemorrhagic Fever Information Packet」の表紙。


このエボラ出血熱、西アフリカの「風土病」だったものが、交通の発達などにより、広範囲で流行するようになりました。致死率が50~90%の病気なので、感染すれば一村全滅、という事態になることが多い。宿主が全滅すればウイルスも死滅するので、結果的にこれまで大きな流行を防ぐことができていた、という指摘もあります。

潜伏期間は7日前後とされ、その間は発症しません。これがやっかいで、感染を知らずに移動し、ウイルスをバラ撒くことになる。患者が発症すると、発熱や悪寒、頭痛、筋肉痛、食欲不振、嘔吐、下痢、腹痛といった症状を引き起こします。やがて、口腔や歯肉、結膜、鼻腔、皮膚、消化管など、全身から出血や吐血、下血し、やがて多機能不全などで死んでしまう。

血液凝固機能にもダメージを与えるため、全身から出血することも多い。「出血熱」という名前はここからきました。直接、患者の血液や体液に触れることで感染するので、出血するなど発症しないとウイルスは拡散しずらい、とも言われ、今のところ空気感染は否定されています。

しかし、エボラ出血熱ウイルスが、数個でも体内へ侵入すると、細胞を構成するタンパク質を破壊します。ウイルスの増殖速度が免疫系の対応より速いため、感染すると細胞は自己修復できずに壊死し、その際に細胞内の酵素も外へ流れ出て健全な細胞を破壊するなど影響を与える。ウイルスはそうした細胞にも容易に攻撃を仕掛け、連鎖反応的に全身の体細胞が破壊されていく、というわけです。

このエボラ出血熱ウイルスに対する有用なワクチンも開発されていなければ、感染患者に対する有効直な治療法は確立されていません。ただ、感染方法がエタノール消毒や石鹸などに弱いエンベロープ型なので、衛生環境がいい先進国で爆発的に流行する可能性は低い、とも言われている。

また、実験動物のサルの段階までワクチンやほかの治療法が確立されつつあり、実際、リベリアで医療支援をしている際に感染した米国人2人のうち、女性一人にワクチンが投与され、病態は安定している、という情報もあります。また、米国の研究機関が、この9月から人間にワクチンを投与する可能性を示唆したそうです。

このウイルス、潜伏期間が一週間ほど、というのが問題です。交通が発達した現代では、一週間もあれば軽く世界一周できる。感染に気づかない患者が、航空機などであちこちに移動しないよう防ぐしかありません。長期フライト中の航空機の中で重篤な症状を発症したら大変です。

研究者らは、感染力の高い末期患者が長距離を移動する可能性は低く大規模な拡散はないだろう、と言ってる。しかし、エボラ出血熱の感染リスクと感染方法に対する衆知と啓蒙が肝要、というわけです。

ロストテクノロジ研究会
エボラ出血熱大流行の原因はこれ『リベリアでエボラに感染した2人、米国に帰国へ』。CNN。最近の医学は病気を個人的なものと解釈している。根絶できるはずがない。なぜウイルスを移す? 現代文明存続の危機へ。


世界規模の音楽売上をまとめた年次レポートをIFPIが公開、2013年は売上3.9%ダウン、音楽ストリーミング売上は50%以上拡大し10億ドルの大台に到達
ALL DIGITAL MUSIC
米国に次ぐ世界第二位の音楽市場である日本で、2013年における音楽産業自体の売上げが16.7%も減少しているようです。企業なら倒産の危機、というわけで、この減少のせいで世界規模でも売上げが落ちてしまった。日本が足を引っ張る形になっているわけです。その理由はひとえに「カスラック」ことJASRACの存在など、音楽著作権関係が硬直化しているからでしょう。世界的にネットラジオ経由などの定額制で聴き放題の音楽配信サービスが大きく売上げを伸ばしている。前年比51.3%の増らしい。一方で、音楽CDの売上げ減少に歯止めがかかり、アナログレコードなどの復権も現れています。日本市場は、こうした両輪で音楽産業の可能性を低めている。どうも音楽産業のみならず、いろんな分野で日本の存在については同じことを耳にするようになってきたようです。
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「IFPI」のレポートページ

Not lovin’ it in Russia: McDonald’s, Wendy’s in Kremlin’s cross hairs
Los Angeles Times
マレーシア航空機の撃墜事件など、ウクライナ問題で国際的な非難を浴びているロシアのプーチン政権なんだが、姑息な報復攻撃に出ているようです。ロシアへ展開中のマクドナルドやウェンディーズといったハンバーガーチェーンに対し、食品衛生局の検査や許認可関係で妨害し、政府主導かどうか不明ながらネガティブ・キャンペーンを実行しているらしい。ロシアは過去にもEUからのワインの輸入や、ウクライナからの乳製品やチョコレートの輸入を禁止してきた「実績」がある。今回も危惧されていたことが起きているわけで、ウェンディーズはロシアからの撤退を決めたようです。

Major turtle nesting beaches protected in 1 of the UK’s far flung overseas territories
PHYS.ORG
こないだニホンウナギも登録された国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種なんだが、ウミガメの類もこれに登録されている種が多いようです。日本近海ではアオウミガメやアカウミガメがよく見られる。どちらもIUCNに登録済みです。しかし、世界的にウミガメは食用として利用されてきた。肉質も美味で捕獲もわりと容易であり、船上に転がしておけば何週間か生きている。大航海時代にはこぞって捕獲され、食べられてきました。ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』にも「代用ウミガメ(Mock Turtle)」というのが登場し、「ウミガメのスープ」も出てくる。小笠原諸島のアオウミガメは年間の捕獲頭数が決められているものの、いまだに食用として島の人々に食べられています。この記事では、大西洋のアオウミガメのサンクチュアリが、南大西洋上のアセンション(Ascension)島にある、と書いている。産卵のために砂浜へ上陸するメスが、一晩に400頭以上いたらしい。保護の結果、大西洋のアオウミガメの個体数は着実に増えているようです。

USBの根幹に脆弱性発覚、死角はファームウェア
GIZMODO 日本版
これはかなり「驚愕」な話です。USBなんて企業のプレスリリースやパーティなんかで、おまけ的にPR用のものが配られたりします。格安のUSBがそのへんに転がってる人も多いんじゃないでしょうか。そんなUSBに致命的なセキュリティ上の欠陥があるとしたら防ぎようがない。同じようなことがほかのガジェットにもありそうです。


アゴラ編集部:石田 雅彦