敢えて朝日新聞を擁護する --- 山城 良雄

2014年08月22日 10:01

ワシの「アエヨウ」シリーズも、何作目になるんかな。韓国の船長、ヤジの都議会議員……大きく言うたらSTAP関係も含まれるわな。そやけど、擁護されたヤツの名誉回復率は0%。かばってるのか、ホメ殺しでとどめを刺しに行ってるのかわからん。頼むから黙っててくれ、という声が聞こえてきそうや。

で、今回は朝日新聞。例の、ようわからん従軍慰安婦訂正記事。8/5朝刊の分だけでも、第一面面の「予告編」と見開き2面全部に、ほとんど活字ばかりぎっしりや。しかも、文章の出来が……ワシ、読みにくい文章書くの大好きやけど、読みにくい文章読むの大嫌いや。


その記事、サイズも内容も中途半端や。あまり予備知識のない読者にも、今回、何をどう訂正しようとしているのか分かって貰うように、「従軍慰安婦問題とは何か」と始めたのはええが、なにしろ、いろんな人が単行本を出して議論しているような大きなテーマや、この記事だけ読んでも、正直、訳がわからんやろ。逆に、一定の予備知識のあるもんは、知ってる話を延々と読まされるて、ゲッソリするで。

記事の主旨が混乱しているところもある。一番はっきりしているのは、「慰安婦と挺身隊の混同」の部分や。まず、もとの記事を引用してみる。

『女子挺身隊』などの名で前線に動員され(1991/12/10朝刊)
朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した(1992/1/11朝刊)

いずれも「名」という表現が出てくるから2つの解釈が出来る(強制連行うんぬんはこの話とは関係無い)。

A:慰安婦になる女性が集められ、応募者の集団は挺身隊と呼ばれた。
B:一般労働をする挺身隊の名目で、実際には慰安婦の募集が行われた。

このうち、Aは明白な誤報、Bは検証は難しいが大いにありそうな話や。もと記事の意図がどちらかによって、謝罪の仕方が変わってくる。朝日の混同を批判する側も訂正をする朝日も、どういうわけかAの意味で議論をしている。

ところが、少なくとも当時から、慰安婦を挺身隊と呼ぶデマがあったことは確実や。悪辣な業者(当然、大部分は朝鮮人や)が、挺身隊の徴用を偽装して慰安婦募集をした可能性は否定できん。あるいは、マリファナを「葉っぱ」と呼ぶように、一種の隠語として「挺身隊」が使われていた可能もある。つまりBの解釈は誤報とは言えん。

記事を素直に読めばBの可能性のほうが高いように、ワシは思う。実際、記者・読者の両者が挺身隊についての一般的な知識を共有していれば、この記事は、何の疑問もなくBの意味になるはずや。ところが、「挺身隊」という言葉を見慣れない読者が「身」の文字に引っ張られてAの解釈をしてしまった。この場合、朝日が謝るべきなのは、誤報ではなく誤読を招きかねない説明不足や。

今回の訂正記事では、Aの解釈をしながら、Bの解釈に基づいた(ような)訂正(のようなこと)をしている。読みにくいはずや……て、いかん、いかん。「擁護」するの忘れとった。

冷静に考えてみるでぇ。この慰安婦問題、済州島の奴隷狩りが誤報と判明した段階で、朝日は、さっさと訂正を出して、他の慰安婦の話は放置しておくべきやったのやろか。確かに、短期的な国益だけを考えれば、こんなもん触りにいくやつはアホや。ただ、アホを承知で真実をほじくり出すのがジャーナリスト。こういう観点からの批判は無意味やろ。

問題は、わざわざ戦後何十年もたってから、議論するだけの価値が「慰安婦」にあるかどうかということや。ワシは、旧日本軍の慰安婦問題は、日本人というものを考える上で、ひとつの重大なテーマとして扱うべきもんやと思う。

まずは、規模。何万人もの女性を本国や植民地からはるばる戦地まで輸送した軍隊、これは珍しい。戦時売春と言っても、大部分は宿営地の側で、現地人が営業するもんや。

経済規模もバカにならん。20万人(主催者側発表)の慰安婦全員が、兵士10人分以上の給料を貰っていたのなら、大陸に出兵した100万人の日本軍将兵の収入の2倍以上の金が、動いたことになる。

根拠の数字が過大なんやろけど、10分の1としても将兵の報酬総額の何割かが慰安所に消えたことになる。この金、最終的にどこへ行ったのか……下手なODAよりもよほどデカイ金額やがな。

こういうのを西洋人の目にはどう見えるか。なんと好色で下品な連中やと思うやろ。戦場で女を買う方も買う方なら、売る方も売る方や。「やはり有色人種の倫理観は動物的である」と解釈されかねん。だから韓国は被害者の立場にこだわる。

朝日新聞の報道姿勢への批判に、「戦争になればどこの国でも売買春をしているのに、旧日本軍だけを目の敵にしえいる」どいうのがあるが、この議論には無理がある。本当に「どこの国でも」と言えるんやろうか。

今トレンディーなイスラム国軍やロシア系民兵などが、大規模な売春部隊を連れ歩いているとは思えん。現地で強姦事件は多発しているが、それは敵を虐殺するついでにやっていること。当然、とんでもない話やけど、組織的な慰安所とは別物や。

旧日本軍にしても、日清・日露あたりでは、それなりの大軍を派遣しているが、慰安婦は皆無やった。つまり、「どこの国でも」とは言えんのや。

軍隊はどう美化しても暴力装置や。その戦の大儀が末端の将兵にまで共有されてなかったり、いつになったら勝利者として帰国できるのかわからないまま、行軍が長引くと、軍紀が乱れて強姦などが頻発する。根本の原因に手を付けずに、取りあえず慰安婦関係での「解決」となる。ベトナムでの韓国軍の慰安婦問題など、典型的な例や。

まともな軍隊は、おおっぴらにはこういうことはせん。派遣国の評判を悪くし、秘密漏洩の温床にもなりかねない売春施設の利用を、公認したり便宜を図るとすれば、その時点で、その軍隊は相当無理な戦略を立てていることになる。

在日米軍の偉いハンに某市長が、風俗施設の利用を勧めて、血相を変えて反発されたのはこういう構造があるからやろ。「我が将兵は、シモの面倒まで軍に見てもらうほど病んでません」というわけや。

この問題は今後のことにも影響する。「軍隊に買春はつきもの」とのことに国民的合意がある国から、「集団的自衛権はじめました」と言われても、にわかにウェルカムとは言えんやろ。PKFにしろ、テロとの戦いにしろ、駐留が長引いたときに、天真爛漫に慰安所を設置されては、自分らの軍の大儀さえ疑われるはめになる。

朝日が誤報を小まめに訂正せんかったこと。「強制性」に関して、ほぼ全面的に責任のある朝鮮人業者を追求する気がないこと。批判者に対する上から目線の議論。意地でもしない謝罪。死ぬほど読みにくくて退屈な文章。

批判する点は山ほどあるけど、旧日本軍がいかに異常な行動をしていたかを示す一断面として、慰安婦の問題にこだわる朝日新聞の姿勢には価値がある。問題を無視したり、ましてや慰安婦の存在自体を、朝日の誤報や捏造だと言うのは、日本人として明らかに間違っておると思うがのう。

今日はこれぐらいにしといたるわ。

ときどき、帰ってくるサイエンティスト
山城 良雄

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