慰安婦問題を「南京大虐殺」と混同するな

池田 信夫

欧米メディアは、彼らの依拠していた朝日新聞の突然の敗北宣言に沈黙を守っているが、きょうNYTの田淵記者はこうツイートした。


私のところにもWiLLを贈ってきたが、読むに耐えない古いプロパガンダのくり返しだ。彼女の問題にしている南京事件の話は、藤岡信勝氏の記事の中に3行ほど書かれているだけだが、これと混同することは大きな間違いだ。日本軍が1937年に南京を攻略したとき、軍民の殺害を行なったことは明らかだ。

「大虐殺」と呼ぶかどうかは主観的な問題だが、それが「国民党の宣伝」だったとしても、死者はゼロにはならない。そもそも日本軍が南京まで行ったのは国際法上も明らかな侵略であり、その死者が30万人だろうと1万人だろうと、日本軍が中華民国の領土を侵犯しなければ、南京事件は起こりえなかった。これはWiLLや産経は認めていないが、読売は認めている。

このように慰安婦問題を「日本の戦争は正しかった」という話にすることは、問題を「歴史を直視しない右翼の攻撃」にすり替えようとする朝日新聞の思う壺だ。「日本の植民地下では、軍による強制連行を直接示す公的文書は見つかっていない」。これはイデオロギーとは無関係に、朝日新聞も認めた歴史的事実である。