錦織、大谷が2020年代の理想の日本人像

2014年09月08日 07:51

※この2人が次代の日本人像の理想!?(写真はwikipediaより)
錦織&大谷wiki

どうも新田です。住民税、固定資産税、健保、出張旅費のグランドスラムが重くのしかかっております。はやく精算したいものです。ところで元スポーツ記者のワタクシメならずとも、この週末は2人の若侍の漫画みたいな快挙にしびれたことでしょう。海の向こうでは、錦織圭選手が全米オープンで4大大会アジア人初となる決勝進出。そして国内では、日本ハムの大谷翔平選手が「10勝&10本塁打」というプロ野球史上初、大リーグでもベーブ・ルースが達成した1918年以来の記録を遂げました。


奇遇とはいえ、この2つの快挙がほぼ同時に起きたことが何かを象徴しているのではないんでしょうかね。「社会部記者×スポーツ記者×三文ブロガー」という意味不明なハイブリッド経歴を送っておりますと、なでしこジャパン優勝がまさに女性活躍推進の機運を高めるきっかけだったように、スポーツ界の動きから世相を読み解こうとする性がございます。

そうした読み解きで重要な視点の一つに挙げたいのが、今後、錦織・大谷両選手が同世代の若者たちにどのような刺激を与えていくのかに興味があります。アスリートと芸能人、天才的ベンチャー経営者は総じて若くして頭角を現すので、同世代の目標になり、生き方にも影響を与えるものです。特にアスリートは国内外のライバルと闘い、すぐに結果が出るので分かりやすい存在かもしれません。

振りかえれば高度成長は、まさにONの時代。東京六大学のスター、長嶋茂雄が巨人に入り、王貞治が本塁打を連発して巨人の全盛期を築き上げます。彼らの活躍もあって学生野球に人気で劣っていたプロ野球が大衆化、マーケティング的に言い換えれば“アーリーアダプター領域”から“アーリーマジョリティー領域”へとキャズム超えする原動力だったわけです。

そのONの後継をざっくり言うと、KKの時代。PL学園の黄金期で一世を風靡した清原和博、桑田真澄はプロ入り後も順調にスター街道へ。ただ、彼らが人気ナンバーワンで活躍した80年代後半~90年代はバブル期とその崩壊に重なります。プロ野球もJリーグという本格的な競合が出現した時期なのですが、KKは、ONたち先人が築いたシステムの中で頂点を極めた“マジョリティー”のスターだったのかもしれません。

その点、野茂英雄や三浦カズは、KKと同世代でありながら、所属球団で任意引退して大リーグに挑戦したり、少年時代にブラジルサッカー留学したりと、随分とイノベーティブだったことに気付かされます。イチローや中田ヒデが90年代末期から2000年代のポストバブル時代にグローバル化の新しい波をもたらせたのも、彼らの存在を手本としたのは間違いありません。しかし、年俸や栄誉で果実を得たのは後輩たち。野茂は日米通算200勝を先に達成しても国民栄誉賞をもらえず、カズはW杯に出る夢がかなえられないといったあたり、早すぎた人間には「悲運」という名の勲章しか与えられないことがまた涙を誘います。

そう考えると、錦織、大谷両選手はどうでしょうか?イチローや中田ヒデたち70年代生まれのイノベーターとも違う気がします。

私なりに感じるのは、グローバル志向が強烈に進んでいること。いわずもがな錦織選手は10代から渡米してIMGアカデミーで英才教育を受け、大谷選手は高校時代は直接メジャー行きを目指していました。

さらにこの2人が魅力的なのは、ゲームチェンジャーとしての資質がより強いことです。錦織選手は、選手として伸び盛りの10代からグローバル化路線に乗るという新しいキャリアデベロップメントのあり方に挑戦して成功例を打ち立てました。日経新聞の記事にIMGアカデミーのディレクター、ゴエツキ氏のコメントが載っていて、錦織選手が受けた教育の真髄が垣間見えるのでご紹介しましょう。

勝ち方は教えられるものではない。「練習である状況を設定して、徹底的に反復練習をさせる。そこから学んで、自ら解を見つけて、試合で生かす。とにかく練習すれば、勝つ可能性は広がる。それを自分で生かしていくしかない」とゴエツキさんは言い切る。

やはり型にはめがちな教育風土の日本を離れた影響は小さくなかったでしょうね。日本人の多くは大学入学後のゼミ形式の講義で初めてディスカッションを体験した、とか、ビジネススクールのケーススタディで正解のない回答づくりに悶絶したような話があるわけですが、錦織選手は10代から自分のアタマで解を考える力を身に着けたことがうかがえます。

大谷投手の二刀流がいかにゲームチェンジングなことかは、いわずもがな。私のような凡才の野球ファンは、元オリックスの左投手が失敗した事例なんかがすぐ頭に浮かびますし、体への負担を今でも心配してはおりますが、栗山監督と本人は、多くのベテラン評論家諸氏からボロカス言われながらも、ここまで貫いてきました。まー、結果を出した者勝ちなのは野球もビジネスの世界も共通するわけで、発想の転換の重要性と、オヤジ世代の固定観念ぶりを若い世代にこれほど分かりやすく示した事例はないでしょう。

なお、私の知り合いの元起業家で、現在英国に留学中の男性は、錦織選手と小学生時代に一緒にテニスをやっていたのだとか。さっそく決勝のチケットを取り、「錦織のグランドスラム制覇をみたい」という昔からの夢を果たしにNYへ飛ぶそうです。同じく大いに刺激を受けた若者、子どもたちがいるのは間違いありません。ネット時代到来後に新聞社に入るといった、典型的ラガート人生を送ってきたワタクシメは四十路を前に、どうやって彼らの邪魔をせずに恙なく引退するかもはや視野に入っております。とほほ。

新田 哲史
Q branch
ソーシャルアナリスト/企業広報アドバイザー
個人ブログ

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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