消費税10%に上げても本当に大丈夫か? --- 岡本 裕明

2014年09月26日 11:06

非常にセンシティブな話題ですが、そろそろもう一度ゆっくり考える時期になったと思いますのでテーブルの上に載せたいと思います。皆さんも一緒に参加してみてください。

マスコミのトーンからすると消費税10%はすでに「ありき」という形に見えます。8%に上げる時のような攻防といった盛り上がりもなく、諦めの様にも見えます。政府の表向きの流れは「最終決定はまだ」という事になっていますが、実態は天変地異でもない限りほぼ間違いなく10%になるはずです。クビにならない官僚が作ったシナリオをクビになりやすい政治家がパフォーマンス的にボイスアウトする三文オペラのようなものなのでしょう。


ただ、経済の実態を見る限り私は心配になってきています。欧米の様に消費税10%が当たり前の国々と比べ日本の8%はまだ生ぬるいと言われてきました。私も当初はいけるかな、という期待がありました。しかし、8%への増税後、どうも街の雰囲気は変わった気がします。たまにしか来ないから感じる独特の嗅覚もあるのでしょう。

8%への消費税引き上げはアベノミクスへの期待と為替の円安、更に株価の回復で「安倍さんはやるねぇ」というイメージを植え付けた戦略勝ちでありました。つまり、目先の金融緩和という即効薬を利用し、この後も「矢」がどんどん飛んで日本は改革すると期待を膨らませさせたのであります。

もちろん私も岩盤規制を砕き、女性の社会進出を促し、地方を活性化し、国家戦略特区を作るという大方針は大いに賛成ですし、推進していただきたいのでありますが、国民がさらに2%の消費税引き上げに体力的について行けるのか不安なのです。

思い出していただきたいのですが、一年ぐらい前にデパートで高額商品が売れると明るい話題を提供していたその主役の消費者は高齢者でありました。つまり、資産ストックを持っている方がその資産インフレ(株や不動産でしょうか)で懐が温かくなり、一時的に消費が回復したように見えてしまいました。おまけに4月からの消費税引き上げもあり、統計的には極めて良好な消費とデフレからの脱却となりました。

化けの皮がはがれた4~6月期は単に反動の消費減のみならず、消費余力をもつ高齢者が「消費疲れ」を起こしている可能性もあります。これは重要なポイントだと思うのですが、高齢者は一時的なボーナス的収入に呼応して消費を増やしたが、長続きしなかったという事であれば今後、消費をリードするグループは不在となり、企業収益にも影響が出てきてしまいます。

安倍首相が今年初めにかなり力を入れていたベア復活等を通じた給与水準の引き上げ。これもひと段落し、給与所得者が所得増の恩恵を消費に振り向ける状況にはありません。むしろ円安による物価上昇で食われた感があります。

このところ、慎重に考えてきたのですが、消費税10%引き上げは日本経済にかなりダメージがあるとみています。それは今後相続税の控除枠の引き上げ、マイナンバー制度などでとにかく税務当局が年貢の回収にいそしむことで単に消費税だけでなく個人からの税徴収が重すぎる負担になりかねないのです。

法人税は引き下げ方針ですが、企業が儲かった場合、その配当金は株主に流れます。その株主は日本企業や日本人でしょうか? 過半は外国であります。つまり、法人税引き下げ→配当の改善→儲けの外国への流出という流れが生じます。これでは誰の為に法人税を引き下げ、誰の為に消費税を引き上げるのでしょうか? 明らかに外国に良い顔をし、国民への負担を増加させるピクチャーにも見えます。

私は日本の企業は甘やかされていると思っています。社会への一定の還元も少ない気がしています。例えば不動産開発会社はマンションを建築すれば地域への人口増を招きます。それに対する企業の負担がなさすぎます。例えば子供が増えるから学校建設費、一人当たりの緑地が不足するから公園建設負担金、老人も増えるから公民館やコミュニティセンターの建設負担金などなどを役所が企業に許認可の代償として払わせるべきです。つまり、従来国が負担してきた費用を企業に肩代わりさせ、膨れ上がる歳出を抑える努力の仕方もあるでしょう。

あるいは以前、このブログでも書きましたがアメリカやカナダの税務当局はペナルティに対する罰金は時として企業の屋台骨を揺るがすほどでありますが、その姿勢は稼ぐ当局のスタンスであります。

こう考えれば一番弱い国民からいつも搾取する役所ではなく役所が自分で稼ぐ制度を作り上げるべきであります。この辺の発想の転換を通じて「国民の負担、政府の義務を双方で分かち合う関係」に変えるスタンスに立ったらどうでしょうか?

私は東京に来て繁華街の空気が明らかに空虚な気がしてなりません。取り越し苦労なのでしょうか?

ご意見お待ちしております。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年9月26日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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