中村修二氏の主張から日米彼我の「違い」を考える

2014年10月18日 11:30

一時「帰国」しているノーベル物理学賞受賞者、中村修二氏が各メディアに出て「吠えて」います。特許法の改正案が国会に提出され、いわゆる「職務発明制度」の法的なバックボーンである特許法第35条が変えられようとしているんだが、青色LED知財訴訟で有名な中村氏はそれに「大反対」と主張しているわけです。


米国の特許法で、職務発明は発明者が所属する企業や組織のものになります。しかし、契約社会である米国だからこそ、発明者と組織が「対等」に報酬を話し合うことができる。中村氏は、今の日本でそれが可能とはとても思えない、と言っている。

また、起業環境が整備されていない日本で技術者研究者はベンチャーを起業できずに「永遠のサラリーマン」として組織に「飼い殺し」にされかねない、とも延べています。日本が雇用の流動化を実現して米国のような起業環境労働環境になればいいが、現状の環境で特許法だけを変えるのは大企業優遇でしかない、というわけです。

長く予定調和で推移してきた日本の労使関係が激変しようとしている今、一方にばかり優位な政策が推進される傾向が批判されるのは当然でしょう。ただ、日本が「特殊」なのか米国が「普通」なのかといえば、米国の環境もかなり「特殊」と言わざるを得ません。米国シリコンバレーのIT系企業で長く働き、内部から同地のスタートアップイノベーションを分析しているスティーブ・ブランク(Steve Blank)氏の講演を紹介している表題の記事を読むと、それがよくわかる。

米国には莫大な軍事関連予算を原資としての起業環境があり、ベンチャーキャピタルも当初は米国政府の政策として育成された、というわけです。中村氏も米国籍を取得した理由に米国の軍事予算の取得を挙げていました。ただ、米国の軍事関連研究は民生用に応用されるものも多く、直接に何か兵器として使われるような研究をしているわけではない、とも語っています。

ところで、もしも米国が日本に対して「平和憲法」を「押しつけた」とすれば、そこには日本の技術研究に対する牽制という背景や理由があったのかもしれません。コンピュータが大砲の砲弾の飛翔経路計算で発達したのはよく知られています。しかし、日本の技術者研究者には自らのテーマが軍事転用されることを極端に嫌う傾向がある。こうした事情からもまた日本が「特殊」なのか米国が「普通」なのか、という根源的な疑問を問いかけられているような気がします。

Geekなぺーじ
米国のイノベーションと軍事予算 – シリコンバレー誕生秘話


破竹の勢い!中国のiPhone6/6 Plusの予約数量が3日で2,000万台突破
小龍茶館
腐っても鯛、中国市場はまだまだ美味しいようです。購買力が増進しているため、砂地が水を吸い込むように需要をまかなって余りある。中国の労働者大衆が作った製品を自国で買い、さらに自らの雇用を確保する、という循環なんだが、アップルはファブレスで米国内では雇用も供給せず、利益だけを得て濡れ手で粟、さらにその利益もオフショアへ移転させて米国には落とさない、という次第。負担だけが一般の納税者にのし掛かる。こういう光景を眺めていると「国家」の存在意義なんてどこにあるのか、という気にもなります。

Meet The Man Who’s Building Robots For Political Resistance
io9
The Robots of Resistance」という物語を紹介している記事です。「監視社会」が現実化しつつある社会で、それにどう対抗していけばいいのか、という話。ロボットもその一翼を担っているんだが、軍事用ロボットには民生用ロボットが対抗する、というような内容です。政治的なレジスタンスをするロボットは人間の味方になってくれるんでしょうか。

State Department Spokesperson: No “Ice Bucket Challenge” For Ebola Planned
BuzzFeeD
また「アイスバケツキャンペーン」が始まるんでしょうか。国連はエボラ出血熱の蔓延を防ぐため、寄付を募っているんだが、10億ドルの目標を大きく下回る10万ドル程度しか集まらなかったようです。米国国務省は、この状況に落胆しているんだが、アイスバケツキャンペーンのようなブームを起こさないとダメかも、とこの記事では書いています。

Everyone in America Could Go to College for Free for the Amount of Money Spent on Mideast Wars
AlterNet
イスラム国に対する空爆を継続している米国は、ここ十数年、戦争を間断なく行ってきた、という記事です。今の米国の若い世代には、生まれてから平和だった時期がない。もちろん、米国の戦争は「海の向こう」で行われたものばかりなんだが、911のような直接的な攻撃にさらされることもあります。この記事では米国が負ってきた戦費や戦死戦傷者の数、戦争が影響する心理的な障害、戦死者の5/2が有色人種の兵士であり、黒人の退役軍人が失業する可能性が高い、など、様々な負の影響について解説しています。


アゴラ編集部:石田 雅彦


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