原発の特別扱いはやめよう

2014年10月21日 09:29

河野太郎氏が「原発を特別扱いするな」と書いている。「発電と小売りの自由化ならびに料金規制が撤廃されるとコストの大きい原発を維持できないから電力会社に補助をしてくれ」という。何のためにそういう補助が必要になったのか、彼はこう書く。

電力業界が再稼働、再稼働と叫ぶのは、ひとえに再稼働しないと電力会社の経営を直撃することになるからだ。[…]廃炉が決定すると、資産に計上している核燃料と原子力発電設備が資産から落とされるので損失が計上されることになり、電力会社によっては債務超過になるところもあった。

原発を(法的根拠もなく)動かさないで、寿命が来る前に廃炉にしようとするから、巨額の損失が出るのだ。原発を普通に動かせば、補助は必要ない。だから原発を特別扱いするのはやめ、法令にもとづいて定期検査の終わった原発は動かせばいい。

火力発電所には、安全基準が改正されたらすべての発電所を止めて設備を改修するというルールはない。原発も火力と同じようにバックフィットに猶予期間をもうけ、それまでは運転しながら時間をかけて設備改修を行なうべきだ。これが原子炉等規制法の規定である。

問題はバックフィットの適用基準が原子力規制委員会規則で決まっていないため、活断層などすべての基準をクリアしないと運転できないと田中委員長が解釈していることだ。この点を委員会規則として明文化し、何を運転開始の条件とするか明確にすべきだ。委員会の監督権限は内閣にあるので、安倍首相が委員会にバックフィット基準の明文化を命じるべきだ。

これは今、安倍政権を直撃している経済危機を打開する上でも重要だ。原油価格が2.5倍になった時期に原発を止めてGDPを0.5%も吹っ飛ばしたことが、日本経済をゼロ成長に引き戻す供給ショックの最大の原因だ。エネルギー供給の正常化は、今や政権の命運を左右する問題である。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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