今あちこちの電力会社で、太陽光発電の接続申し込みを受けつけないという騒ぎが広がっています。これは2012年から始まった固定価格買い取り制度によって、大量に設備認定されたことが原因です。2年間に認定された太陽光発電設備の総発電量は約7000万キロワット、普通の原発の70基分です。なぜそんな太陽光バブルが起こったんでしょうか?
くわしくいうと非住宅用で、2012年は42円、13年は37円、今年は32円ですが、太陽光パネルの発電単価は20円ぐらいなので、1キロワットアワー発電するごとに10円以上の利益出ます。リスクはゼロです。損することは絶対ありません。
これはわかりやすくいうと、みなさんが1個20円でパンをつくってパン屋さんにもっていったら、どんなにまずいパンでも必ず32円でパン屋さんが買ってくれる、夢のような商売です。みなさんが2億円でパンを1000万個つくれば、パン屋さんは3億2000万円で買ってくれるので、確実に1億円以上もうかります。
資本主義の社会では、もうかるビジネスには必ずリスクがあるのですが、この太陽光ビジネスにはリスクがないので、孫正義さんのようなお金持ちがたくさん発電所をつくって、9000万キロワットアワー以上も発電すると、30億円以上で電力が売れます。
これで再生可能エネルギーが増えていいじゃないか、という人もいますが、電力会社は32円で買った電力を20円ぐらいで売るので、1キロワットアワーごとに10円以上の赤字が出ます。その差額は、電力利用者がはらうことになっています。
経済産業省の計算によると、これまで認定を受けた再生可能エネルギーの発電設備がすべて運転した場合、電気料金への上乗せが年間2兆7018億円になります。一般的な家庭では、毎月はらう余分な電気代が225円から935円と4倍以上に増えます。
電力中央研究所の朝野賢司さんの計算によると、この負担の総額は今後20年で50兆円以上で、これはほぼ消費税1%に相当します。おまけに電力会社の設備がこれに対応していないので、接続できない発電設備が増えています。送電設備の増強には、最大で総額24兆円ぐらいかかると、経産省は推定しています。
しかもこうしてできた太陽光発電所は、原発の代わりにはならないのです。雨の日には発電できないので、バックアップの発電所が必要ですから、「原発*基分」というのは、実はまちがいです。このコストは、みなさんの世代にはもっと大きな負担になります。このままほっておいていいのでしょうか?