PRとしてのクラウドファンディング

2014年10月25日 01:00

どうも新田です。家入さんは肥後に入植して、もっこすになるという噂を聞きましたが、音信不通なので私に取材されてもコメントのしようがありません。ところで、その都知事選では日本の政治史上、初めてクラウドファンディング(CF)で選挙資金を集めるという貴重な体験をしたわけですが、ここ最近、一般社団法人ギャンブル依存症問題を考える会の広報PRをボランティアでお手伝いしておりまして、その一環で9か月ぶりにCFに関わってみました。


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◆「ギャンブル依存症問題」のCFをお手伝い
先日、私が広報を担当させてもらったシンポジウムがおかげさまで海外も含め、多数のメディアに取材いただき、盛況でしたが(参照・弁護士ドットコムさんの記事)、今回のCFは、10代の子どもたちがギャンブル依存症にならないよう、啓発のための教材を作るのが目的です。カジノ法案が審議中ということで社会的な注目を集めておりますギャンブル依存症ですが、カジノの是非に関係なく、そもそも論として依存症は深刻かつ知られざる社会問題だということを不肖私めは今回初めて知った次第です。新聞記者時代、お金目当ての凶悪犯や経済犯罪を何度も目にしたものですが、捜査当局も報道側も犯行動機としては「金欲しさ」の一言に終わってしまいがちだったと思います。

しかし、根本的な問題に目を向けると、ギャンブルに病的にハマってしまうが故に身代を持ち崩す人がおりまして、実は適切な治療さえしておけば多重債務やら、お金に苦しんだ末の犯行も防げた可能性があるということで、依存症の存在や怖さを早期教育する重要性を感じます。教材は、漫画やイラストを使ってわかりやすく学べるようにしたく、なんとか皆様のお力を借りたいと思っております。企業など大口顧客向けに代表の田中さんの講演(15万円)もありますが、一番お手軽なところではサンクスメール(500円)、あるいは田中さんが門外不出のぶっちゃけ体験談を交えたトークライブ(1万円)等、商品ラインナップは色々取り揃えております。12月中旬までの2カ月でなんとか100万円を集めたいので、ぜひ宜しくお願いします(汗)

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◆PRの本質を思い出すCF
それにしても、コミュニケーションの仕組み作りや仕掛けを仕事にしておりますと、CFの魅力はお金を集めることだけじゃないと、今回改めて実感します。なによりも「PR」の手段としても実用的ということです。

改めて確認したいんですが、皆さんは「PR」の意味をきちんと答えられますか?
一般的には、情報発信や宣伝、アピールと同義語のように思われがちで、マスコミの記者でも若い人だと曖昧に認識している方が少なくありません。業界団体も認めるように、戦後の日本では、マスコミを通じての宣伝・広報と同じ意味で使われてしまった過去によるものですが、PRとは「パブリック・リレーションズ」、つまり本場・米国で定義された本来の概念は「組織とその組織を取り巻く人間(個人・集団・社会)との望ましい関係をつくり出すための考え方および行動のあり方」です(日本パブリックリレーションズ協会公式サイトより)。

では、CFをPRとして有効というのはどういうことでしょうか?PRの最終目的は宣伝ではなく、市民、消費者、株主等のステークホルダーたる人々に好意を持ってもらい、仲間や応援者を増やすことです。都知事選の時の家入さんはまさに有権者の方との結びつきを深め、事務所費やポスター代等の活動費として浄財を使わせていただいたわけですが、ギャンブル依存症のようにこれまで社会的に注目度が高くなかった案件の場合は、ネットで直接コミュニケーションを取ることで問題そのものを知ってもらう、あるいはそこから物心両面で支援いただけるような仕組みとして、精緻化しやすいわけです。その意味で、CFはPRの本質を思い起こさせてくれます。

◆国内CF市場 9月は1月の2倍!
図のように今年に入ってからだけでも、日本国内のCF市場規模はものすごい数で膨らんでいます。9月の主要サービスの累計額が17億8千万円と1月の約2倍。私は年明け、政治案件が初めてCFとの関わり合いになりましたが、たしかに身近な友人たちが関わっているNPOからスタートアップまで利用しています。
※日本の主要クラウドファンディング 累計支援額 月次推移(出典;visualizing.info
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英国発のがん患者支援施設の都内建設を目指す「マギーズトウキョウ」は、60日間で内装費700万円を集めることを目標にレディーフォーでCFを開始。期限まで1カ月以上を残して800万円を集め、まだ勢いは続いています。代表の鈴木美穂さんは民放記者で、都知事選で取材いただいた際に知り合ったのですが、ご自身の乳がん体験からNPO活動と両立されていることを最近知って驚きました。彼女のひたむきな思いと広報活動が「ホンモノ感」となって共感を集めたのではないかと参考にさせてもらっています。

それから昨日の日経産業新聞にも載ってたらしいんですが、今年のスタートアップ業界の話題を独占気味のスペースマーケットがサイバーエージェントグループと共同で、地方で急増中の空き家等のリノベーション費用を募集しているようです。スペスマCEOの重松君は不肖・私と大学の語学クラスで一緒だったのですが、日本のスタートアップによるCFの面白い事例になるのか、彼一流の事業企画・PR手腕がどう発揮されるのかも注目しています。

ただ、CFの本質は昔ながらの「勧進」というのは3Kの訴訟費用の記事で先日書いた通り。大手企業の営利的利用よりは、ビジネス仕様ならスタートアップ、もしくはNPO等の社会案件のほうが共感を集めやすい傾向に変わりはないでしょうが、来年の市場規模はどこまで膨らむのか、案件ごとの格差も出てきそうで動向から目が離せません。ではでは。
新田 哲史
Q branch
ソーシャルアナリスト/企業広報アドバイザー
個人ブログ

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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