実物資産に価格の「歪み」が発生する3つの理由 --- 内藤 忍

2014年10月28日 12:38

毎週金曜日に無料で配信している「資産デザインン研究所メール」は、毎日コンスタントに購読されるメール会員が増え、7100名を超えました。ご購読いただいている皆さま、本当にありがとうございます。本メールでは資産運用に関する情報提供を行っていますが、対象になる資産は投資信託やFXといった金融資産と、不動産やワイン投資といった実物資産の2つです。


金融資産と実物資産。2つの資産を組み合わせる「ハイブリッド投資」を提案しているのは、2つの資産それぞれにメリットがあるからです。

金融資産は、少額でも投資でき、いつでも売買できる流動性が高く、取引にかかるコストも低いのが特徴です。投資信託を使えば、1000円から投資を始めることができます。今年はじまったNISAという制度を使えば、年間100万円までは非課税です。これから始める人にとっては心強い制度です。

一方の、実物資産には「歪み」というメリットがあります。これは、100の価値があるものが80で売られていたり、120で売られていたりと、価格形成に歪みが生じている状態です。

金融資産には「歪み」はあまり発生しません。東京で1ドル=108円なら、ロンドンでもニューヨークでも、ほぼ同じ為替レートですし、ソニーの株は野村証券で買っても、マネックス証券で買っても同じ値段です(手数料はマネックスが圧倒的に安いですが・・・)。

ところが実物資産、例えば不動産には、投資家によって価格に大きな違いが出てくるのです。その原因となるのが、「目利き」「ローン」「税金」の3つです。

「目利き」というのは物件の発掘能力です。新築の物件などを除けば、株式のようにネット上で価格を調べることができませんから、信頼できる人から信頼できる情報を得て「目利き」できないと、適正な価格で購入できない可能性があるのです。100の価値のものを120で購入すれば、収益を上げるのは難しくなります。

「ローン」とは、借入のことです。特に国内不動産では、借入によってレバレッジをかけることが珍しくありません。しかしローンの審査基準は金融機関によって大きく異なるのです。借り手の属性を重視する銀行、金利が高いが審査が緩い銀行、物件の収益性を重視する銀行・・・それぞれの銀行の融資のスタンスを知り、最適なローンを組み合わせることで、物件に対する見方が変わります。ローン借り入れの巧拙によって、価格に歪みが発生するのです。

そして3つ目の歪みの原因が「税金」です。不動産を所有していると、相続時の評価額を引き下げることができます。物件の時価と相続税の課税対象額計算に大きな違いがあるからです。相続税対策で不動産投資をする人たちは、タックスメリットを含めてリターンを考える特殊な投資家になりますから、ここでも価格に歪みが発生します。また、減価償却によって所得税の圧縮を狙う、高所得者の方もいます。このような投資家も税メリットを含めて投資を考えます。「税金」によって、利回りや物件のターゲットが異なる「歪んだ投資家」が発生するのです。

昨日お会いした、国内の有力不動産会社の代表は、3つの歪みを理解して、ビジネスを展開する稀有な経営者の方でした。このような視点から不動産投資を考えることができる専門家は、日本にはほとんどいないのです。物件を左から右に流すだけのビジネスでは、付加価値はありません。投資家に対して3つのメリットをクリアに提供できることが、不動産会社の専門性ということができるのです。

金融資産と実物資産の大きな違いを理解して、アドバイスができる専門家を増やしていくことが、日本の資産運用業界にとって必要なことなのだと改めて痛感しました。資産デザイン研究所では、外部の専門家の方の知見も取り入れ、メールマガジン、セミナー、パーソナル・コンサルティングを通じ、個人投資家の皆さまに有益な情報を提供して参ります。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年10月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。


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