東京は、負けないぞ --- 中村 伊知哉

アゴラ

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コートダジュールからプロヴァンスを経てリヨンに行く電車。サンテミリオンと一人旅。実にヒマです。機嫌よく車窓をみやっていると、思います。この海の紺と光に東京は勝てないなぁ。もちろん世界の都市に東京が太刀打ちできないものはいくらでもあります。サンフランシスコの涼やかな夏。ブエノスアイレスやマラケシュの路傍のリズム。マドリードでみるフットボールの迫力。バンコクのムエタイ会場の場末感。


でもね。昔ほど海外に憧れることは失せました。日本が、東京が成長し、多様性を保ったまま豊かになっているから。

東京が世界の都市に負けないぞ、と思うことをランダムに挙げてみます。ヒマなので。

・ぼくのオフィスから100m圏内に、中国、韓国、インド、タイ、ベトナム、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、ベルギー、スペイン、ポルトガル、トルコ、ナイジェリア、トーゴのレストランがある。

・オフィスから100m圏内に、札幌の羊、仙台の牛たん、新潟のそば、富山の魚、京都のオムレツ、大阪の串かつ、高松のうどん、高知のかつお、宮崎の鶏、沖縄の豚がある。

・ミシュラン星付きレストランは、パリ64軒に比べ東京は266軒(京都大阪は243軒)。

・サイゼリヤならペペロンチーノとワインで400円しない。

・食堂の前に3Dリアル食べ物模型や写真が豊富でビジュアル完璧。

・コンビニでコピーができて公共料金が支払えて小包を送って洗濯物を出してトイレが借りられる。

・公衆トイレにウォシュレットがついている。

・ゴミが少なくてウンコくさくなくて、ツバをはく人も少ない。

・スマホ登場の8年前、今から15年前にはケータイでネットが使えた。

・LTEがあたりまえだ。

・どの通りにもある自販機が壊れておらず、ビールも日本酒も、カップ麺もおでんも、バナナも、パンツも買える。

・たまに電車が遅れると、あやまってくれる。

・タクシーにケータイを忘れてもドライバーが届けてくれる。

・家電量販店で商品のことを尋ねると、たちどころにA社とB社のスペックを解説してくれる。

・見知らぬ人に道を尋ねると、地図を描いてくれる。

・ほとんどの人がたて笛を吹くことができる。

・主婦が母国以外のいろんな料理を作ることができて、自分のレシピを持っていたりする。

・あまりクラクションの音がしない。けど自販機やエレベータが話しかけてくる。

・一方通行の道を運転していたら、向こうから逆走してきた相手がコッチを怒っている、ということがない。

・道を歩いていたら勝手に靴を磨かれて、「5ドル!」と請求されたりしない。

・コスプレアイテムである制服を女子高生がいつも着ているし、ナチスの軍服を着ていても殴られない。

・少年マンガ誌をおっさんが買っても恥ずかしくない。

・電車の中で、安心して口をあけて寝ている人がたくさんいる。

・酔っ払って路上で寝ていても身ぐるみはがされない。

・警官がこちらに銃口を向けていない。

ほかにもいろいろあるでしょう。 
思いついたら教えてもらえませんか?


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2014年11月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。