米10月鉱工業生産は予想外に減少、暖房需要の低下が冷や水に --- 安田 佐和子

アゴラ

米10月鉱工業生産は前月比0.1%減と、市場予想の0.2%増を下回った。前月の0.8%増から、予想外の減少を迎えている。足元6ヵ月間で、2回目の減少を示した。設備稼働率も市場予想の79.3%以下の78.9%。前月の79.2%(79.3%から下方修正)にも届かず、あらためてリーマン・ショック前の分水嶺である79%台を割り込んだ。


鉱工業生産の内訳をみると、製造業が2ヵ月連続で0.2%増だった。機械が1.3%増と前月の0.9%減を打ち消したほか、電気製品・電子機器も0.7%増と3ヵ月連続で増加している。ただし自動車は1.2%減と、米10月新車販売台数が伸び悩むように3ヵ月連続で減少した。公益は0.7%減となり、3ヵ月ぶりにマイナス反転。温暖な気候を受けて天然ガスが3.2%減と、前月から減少に転じ公益を押し下げている。電力も0.3%減と、3ヵ月ぶりに減少した。鋼業は原油安などを受けて0.9%減と、3ヵ月ぶりに減少した。

JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果に対し「公益と鋼業が下押しした程度で製造業は小じっかり」と評価。ただし自動車セクターが「ドル高の影響で全般的に減速し鉱工業生産全体を押し下げる」可能性を点灯させ、10-12月期の製造業生産は7-9月期の年率3.8%増から鈍化すると予想した。

——以上、米鉱工業生産は120年間で4番目に暖かい10月を迎え、暖房需要が平年を下回ったために公益が足を引っ張りました。そのほか原油安で鋼業、ドル高の余波もあって自動車も弱含んでいます。翻って米11月NY連銀製造業景況指数は10.2と、市場予想の10.3とほぼ変わらず。前月の6.17を上回ったとはいえ10-11月の平均は8.16と7-9月期の平均22.61を大きく下回っており、製造業活動は失速感が漂います。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年11月17日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。