『もしもしにっぽん』裏話 ~ 絵文字の巻 --- 中村 伊知哉

アゴラ

スマートフォンで、絵文字って使ってます?

ハートのマーク、音符、動物、顔の表情。いろんなマークがあって楽しいよね。

日本では、インターネットが登場した当初から、絵文字が盛んに使われてきました。そして、顔文字も発達した。


たとえば、これは、笑っている表情を表しています。    
 (^_^)  

西洋で使われている顔文字で、笑いの表情はこれでしょう?
 :-)

日本の顔文字は顔が正面を向いているけど、西洋のは横向き。日本の顔文字は目の形で感情を表現するのに対して、西洋の顔文字は口で表現をします。

いろんな表情を見てみましょう。

とてもうれしい表情。手を挙げています。
 \(^▽^)/

大勢の人がもっと喜んでいます。
 \(≧∇≦)/\(≧∇≦)/\(≧∇≦)/\(≧∇≦)/

泣いています。両目から、涙が流れています。
 (T_T)

怒っています。目が怖い。
 \(*`∧´)/

大勢が怒っています。口の形が不満を表しています。
 ヾ(`ε´)ノヾ(`ε´)ノヾ(`ε´)ノヾ(`ε´)ノ

謝っています。頭を下げて、両手をついています。
 m(_ _)m

日本は文字情報以外の表現が豊かです。昔から絵文字を文字の代わりに使ってきました。それぞれの家には家紋というマークがあって、それをコミュニケーションに使ってきました。1000年前には、服の色の組み合わせでその日の感情を表すという、色のコミュニケーションもあったといいます。

擬音語や擬態語の数がとても多いのも特徴。ニコニコ、は喜んでいる表情を表す。ドキドキ、は緊張している様子を表す。ハラハラ、は心配している様子。イライラ、は怒っている様子。

文字や言語という論理的なものではない、記号のような非論理的なものを使ったコミュニケーションが豊かです。

それが発達したものが、「スタンプ」です。LINEというスマートフォンのアプリケーションでは、スタンプとよばれる絵文字が盛んに使われています。笑ったり、怒ったり、驚いたりするキャラクターの絵を使ってコミュニケーションがされています。スタンプだけで、つまり全く文字を使わないコミュニケーションが成立しています。日本の生んだLINEというサービスは世界5億人が使っていて、日本風のコミュニケーションが広がっているのです。

LINEのスタンプを自分で作って売るサービスも始まって、わずか1か月の間に1万セットを超えるスタンプが登録されたといいます。自分で絵を作って、自分で表現する時代になってきましたね。

文字が発明されたのは何千年も前のこと。グーテンベルクが活版印刷を発明してから560年になります。それほど長い間、人類は文字でコミュニケーションしてきました。だけど、これからは、絵でコミュニケーションするようになるのでしょうか。

どう思います?


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2014年12月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。