日本の政界と官界の頭の中は、依然として高度成長期のまま --- 岡本 裕明

2014年12月30日 19:14

2014年の日本を一言で回顧するなら政府の歯車と国民の歯車のかみあいが悪かった一年だった気がします。

アベノミクスにこれほど賛否両論、様々な意見が交わされるとは2013年には想像しなかったと思います。アベノミクスは愚策と言い切っていた人たちにとっては「ほら、見たことか」と思っているかもしれません。アベノミクスシンパは「いや、12月の選挙で再び信任を貰ったのだからきっとやってくれる」と2015年に期待をしていることでしょう。どちらにしてもアベノミクスの効果は期待に対して現時点では半分かそれ以下の達成率であることに異存はないはずです。では、時間がたてば達成できるか、という点については疑問視する声が大きくなっています。


共通するのは第三の矢は飛ぶのか、という事。11月21日閉会の国会で女性活躍推進法案も国家戦略特区法改正案など目玉とするものは廃案になっています。そこで出てきた「3.5兆円経済対策」で地方、消費、中小企業に重点となっておりますが、広く浅いバラマキにもみえます。第3の矢は構造改革なのに打ち上げ花火のような経済対策を打ち出してきたのにはちょっとびっくりであります。

かみあいが悪いのは日本の社会がポストバブルの世代の価値観が大きく変化したのに対して政府、役人がついて行っていないというギャップが大きな要因の一つだと思います。重層な政治家社会と官僚というこちらも一般社会とは隔離された感覚をお持ちの方々との連携でドライブする日本丸ですからいわゆるごく普通の団塊ジュニアの基本発想と常識観などは声にもならないのでしょう。

最近のニュースで今の日本を端的に表していると思ったのがシェアハウスに住んでいるひとり親の女性の補助金を役所が打ち切ったというニュースです。その理由が「一つ屋根の下に住む(=住所が同じ)場合には事実婚とみなす」との1980年の厚生省の課長通知がそのまま適用され、補助金を打ち切られたとのことであります。正に世の中の変化に対して役所がいまだに対応できていない好例であります。大体、それ以前にシェアハウスというカテゴリーは役所の建築基準にないのでそれを建築すること自体の基準法規は寄宿舎規定などの運用適用となっているお粗末さであります。

日経の政治部記者が選ぶ今年最大のニュースは再増税延期衆議院解散であります。それに対して読売新聞の読者が選ぶ日本の10大ニュースにおいては解散総選挙が5位、消費税引き上げ先送りに至ってはなんと16位と国民の反応の違いを感じさせる内容になっています。比較がapple to appleになっていない点を間引いたとしても視点を変えれば結構違う、という感じがします。ちなみに日経政治部は「消費税8%引き上げ」が6位に対して読売は2位。つまり、庶民は実感を重視し、記者は決定事項を重視するというタイムラグもあります。この温度差が如実に出たのが今年ではないでしょうか?

2014年を概観すれば書ききれないほどいろいろありますが、的を絞れば日経平均はいよいよ18000円の大台にリーチがかかっていること、円ドルの為替は120円を超える状態になっている点においてはアベクロコンビの成果であることは認めます。ただ、金融緩和→円安→株高というシナリオが健全な流れで今後永続的に続けられるわけではないのですから踊ってばかりいれば足元をすくわれることになりかねません。

こちらも本日の演題同様、「日経平均18000円で誰が儲けた?」と聞けば一番は外国人投資家という事になります。円が安くなって誰が得したか、といえば海外に工場進出していなかった一部の輸出業者で一般庶民は食料品の値上がりに「今夜のおかずは一品減らす」ことになったかもしれません。いやいや、ガソリンの価格は23週連続下がって150円を切ったじゃないか、と反論があっても「車に乗るのは週に一度だけ」という人にはそのメリットはあまり感じられないでしょう。

大企業は円安で決算が好調なところもありますが、従業員に円安還元することはなく、「為替は水物ですから将来の円高の為に内部留保」という事になっているのではないでしょうか?

今年一年、政府の歯車と企業の思惑と庶民感覚がずれ続けたというのが私の印象です。ベクトルを同じ方向にすることで高揚力をつけ、素晴らしい発展を遂げたのが60年代の高度成長期でした。あの頃は政府も企業も国民もメリットがあったのです。今は防戦ばかりというのが庶民の声ではないでしょうか? 来年こそ期待したいものです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年12月30日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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