人間関係に悩んだら「しっぺ返し」戦略で切り抜ける --- 内藤 忍

2015年01月12日 11:58

ひょんなきっかけで、20年以上前に読んだ「賭博と国家と男と女」という名著を読み返してみました。良好な人間関係を作るには、どうするのが良いかというヒントになる考え方を提供してくれる作品です。


本書で紹介されているのは「囚人のジレンマ」と呼ばれるケースです。人間の行動の選択肢に「好意」と「悪意」がある場合を想定し、自分と相手がそれぞれ、どちらの感情を持つかによってどれだけのメリット、デメリットがあるかを考えます。

お互いに協力(自分も相手も「好意」)すれば、そこそこのプラス
裏切った場合(自分が「悪意」、相手が「好意」)は、最大のプラス
裏切られた場合(自分が「好意」、相手が「悪意」)は、最大のマイナス
お互いに裏切り(自分も相手も「悪意」)は、そこそこのマイナス

と設定します。

実社会における人間関係をこのように単純化して考えると、「好意」と「悪意」をどのように出せば、最もプラスを大きくできるかをシミュレーションすることができます。

1回だけのゲームではなく、このゲームを繰り返しやっていくと、想定外の面白い結果になります。相手がどうあろうと常に好意で対応するという「お人よし戦略」の方が、好意に対して悪意で対応して大きなプラスを狙う「裏切り者戦略」よりも、長期的に大きなメリットが得られるという結果になったのです。

さらに興味深いのは、「お人よし戦略」よりも大きなプラスになった戦略は、やられたらやり返す「しっぺ返し戦略」だったというのです。英語では「Tit for tat」と呼ばれる方法です。

「しっぺ返し戦略」とは、何も無い時には「お人よし戦略」なのに、相手が悪意を示してきたら、その時だけ悪意で次回応えるという戦略です。そして、次回以降は再び「お人よし」に戻るのです。

「しっぺ返し戦略」で重要なのは、悪意に応えるのは相手が悪意を示した時だけの1回きりというところです。一度やり返したら、また元の「お人よし戦略」に戻るのです。裏切られたことを根にもって、ずっと引きずるのではなく、一度やりかえしたら、すっきり忘れてまた元のいい人になるのがベストの戦略です。

現実の人間関係は、ここまで割り切れるものではないかもしれませんが、これからの行動のヒントにはなると思います。例えば、グループ内でいじめられたり、ビジネスで裏切られたりした場合、泣き寝入りするのも、ずっと恨み続けるのも賢明な策ではないということです。何か相手からマイナスなことをされたら、すぐにマイナスなことをやり返す。ただし、やり返すのは1回だけで、その後はまた、良好な関係を築くように努力する。

「しっぺ返し」を意識して毎日を過ごすことによって、新しい人間関係が生まれる可能性があることを、この本は教えてくれました。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2015年1月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。


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