コンビニ戦争の行く末

岡本 裕明

ファミリーマートとサークルK、サンクスが経営統合すると報道されています。経営統合について両社が時間をかけて検討をし、今年いっぱいから一年後ぐらいに検討結果次第で統合に踏み切るプランのようです。

仮に統合すれば店舗数ではセブンを抜き、売上でもローソンに大きく差を開けての2位に浮上します。基本的には統合はいろいろなプラスが考えられるでしょう。これは推進して良いかと思います。


ただ、国内のコンビニは飽和状態で成長のチャンスは東南アジアなど海外に向かうしかありません。一方のセブンイレブンはもともとアメリカの会社が日本に進出したものの親がへたばり、子が親を救済買収したようなものであります。ところがその本家セブンイレブンも日本と比べれば雲泥の差。だからこそ、セブンは北米資産を足掛かりに更なる飛躍の余地が残されているともいえます。となれば、新生ファミマ/サークルKはセブンとガチンコ勝負をするのか、特徴を持たせた経営を行うのかが一つ目のポイントとなります。

二つ目に小型食品スーパーが急速に店舗数を伸ばしてきており、コンビニとの差別化を図り始めています。何故、このようなマーケットができたのかと考えた時、総合スーパーに行く面倒くささを指摘しておきたいと思います。

常識的には考えつかない発想の一つとして「人は探す手間が惜しくなった」という事です。例えば郊外のショッピングモール、あるいはコストコに買い物に行くとなると車で行くぞと構えて本気のショッピングをしなくてはいけません。コストコは駐車するにも30分以上待たねばならぬこともあり、ショッピングモールでも2000円以上買わないと駐車券は無料にならないとすればどうしても買うという強迫観念がそこにあるとも言えるのです。

ところが街中の小型食品スーパーは自転車で店前に乗り付け、欲しいものをさっと見つけ、さっと会計して買い物をすませられるという手軽さがあります。お年寄りにも商品は見つけやすいし、目的の場所にもさっさと辿りつける、この「肩に力が入らないスタイル」が今の流れなのだろうと思います。

ではコンビニと食品スーパーの違いですが、コンビニは明らかに店舗の「武装レベル」が高くなります。つまり、カウンター周りの様々なサービス、コピーから金融サービス、コンサートチケットにネットで購入した商品の受け取りまであまりにも多岐な機能をレジ周辺に持たせてあります。このコストやマーケティング費用に対して小型スーパーは食品に特化した強みがある点で使い分けが進むと見ています。

もう一点、外食産業が苦戦する中、その「食」がどこに消えたのか、と話題になりますが、家で済ませる、あるいは弁当を持って行く人が増えているだろうと思います。その中で「進化」の行く先は「弁当の仕分け」でご飯とおかずの分離化があり得るとみています。例えばご飯は家で炊くけれどおかずはどこかで買う、あるいはその逆などであります。私も先日、家にご飯と野菜はあるが主菜が欲しくてどこに行ったかといえば食品スーパーの総菜売り場でおかずだけゲットするという方法でした。ではなぜ、外食をしないかといえば美味しい所は並ぶ、待たされる、価格見合いの内容を必ずしもゲットできないことではないでしょうか?

コンビニも次の進化に向けて試行錯誤が続きます。しかし、追手は思わぬところから現れるかもしれません。規模の拡大によるメリットはありますが、一方でビジネスモデルの変化にどう対応するのか、そのあたりもよく研究しないと思わぬしっぺ返しを食らうこともあるかもしれません。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本 見られる日本人 3月6日付より