太平洋戦争中のパラオで何が起きたのか

2015年04月08日 13:04

戦後70年、ということで今年に入ってから様々なイベントが催されています。昨日4月7日は戦艦大和が鹿児島県坊ノ岬沖で沈没して70年でした。マスメディアはこぞって大和を取り上げましたが、先日フィリピンで発見された同型艦の武蔵の話題も関係しているのかもしれません。

天皇皇后は、8日から南洋パラオへ戦没者慰霊へ出かけています。戦後60年にはサイパンを訪問し、その際、パラオやミクロネシアも同時に足を運ぶことが計画されましたが、交通や宿泊の問題など諸事情で断念したそうです。

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パラオ訪問で両陛下が宿泊する海上保安庁の巡視船あきつしま。海上保安庁のHPより。


こうした経緯もあり、戦後70年という節目にパラオを訪れたい、という天皇皇后の強い思いが実現した、というわけですが、パラオはサイパンやグアムよりもさらに遠方です。このパラオ政府のアクセス情報によれば、日本とパラオの間には成田から週2便直行便が出ています。

当方は一度だけパラオへ行ったことがありますが、グアム経由トランジットで4時間待ちというタフなフライトでした。現状デルタ航空の直行便でも5時間ほどもかかる。高齢の両陛下にとってはかなり大変な日程になりそうですが、パラオと激戦地ペリリュー島へも行く、ということで宮内庁は宿泊先にもかなり気を遣ったようです。

今回は初めて海上保安庁のヘリ搭載巡視船「あきつしま」へ宿泊し、パラオ国際空港へ到着後、歓迎会などに出席し、ヘリ移動でパラオ・巡視船・ペリリューと移動します。当方がパラオへ行ったときには日航系のホテルへ宿泊しましたが、確かに建物がかなり古く、場所も空港からかなり距離がありました。

あきつしまは、しきしま型ヘリ2基搭載、6500トン級の海上保安庁保有最大の巡視船です。2万海里以上の長距離遠洋航海が可能で、当然、内装もそれ用。今回のパラオご訪問のため、バリアフリー化や温水洗浄便器の設置など改造し、天皇皇后はベッドを追加した船長室へ宿泊するそうです。

本来、しきしま型はプルトニウムの海上輸送を護送する目的で建造されました。海賊など対テロ装備も充実し、海自の護衛艦にも匹敵するほどです。戦没者慰霊という目的のため、海上保安庁の巡視船を利用した、という点に宮内庁の慎重な配慮が垣間見える。また、宿泊先を巡視船にしてもパラオへ行く、というのは天皇の強い意向だった、とも言われています。

ところで、今回の訪問先の一つ、ペリリュー島とはいったいどんな島なんでしょうか。同島はパラオ諸島の一つで、パラオ共和国の首都コロールの南西約40kmに位置する面積約13平方kmの島です。13平方kmは諏訪湖とほぼ同じくらい。太平洋戦争における日米の激戦地の一つです。

太平洋戦争では、1942年6月のミッドウェー海戦や1943年2月にかけてのガダルカナル島をめぐる戦いを転換点として連合軍の反攻が始まりました。その後、アッツ島を皮切りマキン・タラワ、サイパン、テニアン、グアムといわゆる「玉砕」の戦いが続き、日本軍はジリジリと太平洋各地から後退していきます。

当時の日本軍には「生きて虜囚の辱めを受けず」といった捕虜となることを禁じた観念が支配的で、圧倒的な戦力差で敗北必至な状況でも降伏せずに決死の突撃で全滅する、という戦法が行われていました。これを美化して玉砕といったわけですが、無意味な玉砕戦法を変え、組織的なゲリラ戦法で戦ったのがペリリュー島の攻防戦からだった、とされています。

これまでとは違う日本軍の戦術に米軍はかなり悩まされ、米軍最強の第一海兵師団の死傷率が50%と高かったように、それまでになく多くの出血を強いられたようです。ただ、日本軍はゲリラ戦を展開していた洞窟陣地に追い込まれ、最終的には残った数十名の将兵が「万歳突撃」して玉砕しています。日本軍の戦死者1万695名(捕虜202名)、米軍の戦死者1794名、負傷者8010名。

また、スティーブン・スピルバーグが製作総指揮を執ったテレビドラマ『ザ・パシフィック(The Pacific)』にも描かれていたように、この過酷な戦闘で米軍側には今で言うPTSDで精神に異常をきたす者が続出しました。日本軍がペリリュー島で戦った持久的ゲリラ戦術は、その後、硫黄島や沖縄で採用され、両軍の血が流され続けることになります。両陛下が9日に訪れるペリリュー島は、太平洋戦争でも象徴的な島だったというわけです。

PALAU×PALAU
パラオの達人が語る、パラオの遊び方


【気候科学】海洋細菌によって駆動される炭素貯蔵
nature
大気中から取り入れられた大量の二酸化炭素が海中に貯蔵されていますが、その原動力になっているのが海洋性の植物プランクトンです。海洋中の二酸化炭素など有機炭素類は「溶存有機物(DOM、dissolved organic matter)」と呼ばれていますが、これが分解されると海洋生物の栄養素になり、再び炭素が環境中へ広がることになります。この記事では、DOMを分解する細菌により、分解されやすいDOMとされにくいDOMに分けられることがわかってきた、と書いている。分解されにくいDOMは、炭素を取り入れながら数千年もの間、海洋中に二酸化炭素などを保存することになります。

Melody on the menu: how a sprinkle of Mozart might give your meal zing
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我々の五感は相互に作用し合いますが、この記事では、料理と音楽の関係について書いています。音楽によって味が変わる、というわけですが、塩味が最も音と関連づけが難しいらしい。また、よく言われるように、モーツァルトが食事の際の音楽にふさわしいそうです。ただ、シャトーマルゴー2004年にはチャイコフスキーの弦楽四重奏曲ニ長調が合い、ロワールの白ワイン、プイィフュメにはモーツァルトのフルート四重奏が合う、と言われてもちょっと困ります。

Cuba’s Fidel Castro makes rare appearance after 14 months
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キューバのフィデル・カストロが14カ月ぶりに姿を現した、という記事です。20世紀の生き証人の一人ですが、ほとんど彼だけになってしまった。88歳。野球帽とウインドブレーカーを着て元気な姿を見せたらしい。カストロを単独インタビューして伝記を書いてみたいですな。

独フラウンホーファー、プラスチック製エンジンの試作完成
ASCII.jp×デジタル
住友ベークライトとの共同研究で、樹脂製のガソリンエンジンを作った、という記事です。これがプレスリリース。繊維強化プラスチックを使うことで、重量が従来の20%減のエンジンを作ることができるらしい。今回のエンジンは単気筒。研究者らは、シリンダーブロック以外の部品もプラスチック製にし、さらに多気筒エンジンの実現も目指すようです。
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シリンダーブロック部分がプラスチックのガソリンエンジン。BMWのオートバイ用らしい。c Fraunhofer ICT


アゴラ編集部:石田 雅彦


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