ポール・マッカートニー人気の背景 --- 井本 省吾

2015年04月30日 10:09

元ビートルズのポール・マッカートニー(72)の公演が28日、東京の日本武道館で開かれた。約1万人のファンで埋め尽くされた場内にヒット曲「キャント・バイ・ミー・ラブ」「イエスタデイ」などの歌と演奏が流れ、ファンを魅了した。


入場チケットの価格をチケットぴあで見ると、一番高いSS席で10万円、B席でも4万円もする。

だが、ファンはそれほど高いと思わないのだろう。昔、新入社員の初任給が10万円に満たないころ、入社早々の若手社員が4万円のチケットを買って入場し「楽しかった」と言うのを聞いて、オペラに素人の当方は驚いたことがある。「たった数時間の公演に、よくそんなに気前良くカネを払えるな」と言うと、若手社員は「好きですから」と、当然のような顔をした。

だが、その後、ゴルフを覚えて熱中した自分がバブル期に平気で3万円のプレー代を払うようになって「なるほど」と納得した。昼食、交通費を含めれば4万円を越すこともあった(今はかなり安くなり、1万~2万円が普通になったが)。

好きなことならカネに糸目はつけない。まして、青少年時にビートルズ・ファンだった世代は今や60~75歳。最も金融資産の多い年代層が中心だ。マッカートニーが故ジョン・レノンらとともに来日公演した1966年は10代から20代だった。とてもライブを聴きに行くだけのカネがなかったという人が多かろう。

ふところに余裕ができた今、いくら払ってもいいから若かりし頃の夢を実現させたい。「10万円の席など安いものだ」と考えるファンも少なくないだろう。マッカートニーを呼ぶ日本側の関係者はその辺をしっかりとつかんでいる。

視聴するだけではない。青少年時代、高くて買えなかった高級な楽器を求めて演奏するシニアグループも少なくない。絵画、書道の絵筆、囲碁将棋の道具、踊りやスポーツの道具、衣装なども数十万円のホンモノを購入する初老の趣味人が目立つという。

海外旅行も昨今は世界遺産めぐりの旅などが高額旅行が盛んだ。

マーケティングの肝をそこにある。大いに消費者の楽しむ機会と商品を容易してもらいたい。

政府はすぐに成長戦略などと言うが、政府、役所にそんな戦略などあるわけがない。民間企業が自分のアイデアで消費者の喜ぶ商品やサービスを投入することで実現するしかないのである。

政府のできることはそうした企業の自由な活動を妨げる規制をなくすこと、緩和することしかない。つまり規制改革や行政改革を実現することであり、余計な規制ができないように議員や役所の職員を削減することに他ならない。


編集部より:この記事は井本省吾氏のブログ「鎌倉橋残日録 ~ 井本省吾のOB記者日誌」2015年4月29日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった井本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は鎌倉橋残日録 ~ 井本省吾のOB記者日誌をご覧ください。


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