70年後に日本はどうなるの?

2015年05月12日 23:32

今年は戦後70年ということで、今から8月15日の首相談話の話題で持ち切りです。おじさんたちには昔話がおもしろいのかもしれませんが、よい子のみなさんには関係ないですね。それよりみなさんが大人になる50年後や70年後に、日本はどうなるんでしょうか?


ゼロ成長の場合の国民負担率の予想

この図は、鈴木亘さん(学習院大学)が、今の社会保障システムが変わらないと、みなさんの負担がどうなるかをシミュレーションしたものです。国民所得(正味の実質GDP)は、2075年までの60年ぐらいの長期を考えると、ほぼゼロ成長になるだろうというのが、多くの経済予測です。

その最大の原因は、働く人が毎年1%ずつへってゆくからです。他の条件がすべて同じだとすると、労働人口が1%減ったら成長率は-1%になりますが、この分を労働生産性の向上などで埋めたとしても、現役世代のお金を使う消費者がへるので、経済全体としてはゼロ成長がいいところでしょう。

このうち社会保障(年金や医療など)に使う「社会保障給付」は、今は国民所得の40%ぐらいです。こういう税金や社会保険料などの国民負担を国民所得で割った率を国民負担率といい、国民所得から国民負担を引いた所得を可処分所得といいます。これはお父さんの給料から天引きされた手取りの額です。つまり

 可処分所得=国民所得-国民負担

ということです。国民所得が今後50年ほぼ同じだとすると、老人がふえるにつれて社会保障給付(国民負担)がふえてゆくので、可処分所得はへります。日本では、戦後の「ベビーブーム」で生まれた人々がこれから年金生活に入るので、社会保障給付は急にふえ、20年後の2035年には国民所得の60%ぐらいになります。つまりみなさんの所得が40%ぐらいになるということです。

この結果、全体の国民所得がゼロ成長だとしても、上の図でもわかるように、働く世代の手取り(可処分所得)はへります。「脱成長」などとのんきなことをいっている人がいますが、成長しなくなるだけではなく、よい子のみなさんの世代は今より貧しくなるのです

今まで日本人はずっと豊かになってきたので、これはみなさんにはイメージしにくいと思います。いくら貧しくなっても、今までの蓄えもあるので、飢えて死ぬ人が町にあふれるということはないでしょう。今は高度成長の時代に貯金した親がフリーターの子供を養うといった形で、それほど貧困は目立っていません。

しかし日本の貯蓄率はほぼゼロで、これから貯金はへっていきます。そうすると子供を養う親の金がなくなり、子供はフリーターのまま年を取ります。牛丼とかコンビニのアルバイトは、いくら年をとっても時給が上がらないので、こういう「中年フリーター」の手取りの所得は下がり、ホームレスがふえるでしょう。生活保護や失業保険も、そのころには財源がありません。

この原因は簡単です。よい子のみなさんの世代がおじいさんやおばあさんの世代にはらう負担(社会保障給付)が多すぎるのです。でもこれからは、年金をもらう人のほうが税金をはらう人より多くなるので、政治家は老人のみなさんのごきげんをとるために、与党も野党も「福祉の充実」といっています。

しかし上の図を見るとわかるように、60年後の2075年には、国民負担率が100%を超えて可処分所得がマイナスになります。こんなことはありえないので、この負担増はどこかで破たんします。今のままでは2035年ぐらいまでに、年金会計は破たんするといわれています。この負担を消費税で埋めると、税率は30%でも足りません。

要するに、今のままでは日本経済に未来はないのです。これはよい子のみなさんだけの問題ではありません。年金が破たんしたら、困るのは老人のみなさんです。今より貧しくなる社会はさけられませんが、その負担を公平にする必要があります。上の図は未来のシミュレーションですから、よい子のみなさんが未来を変えることもできるのです。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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