日韓条約の経済援助8億ドルは「はした金」だったのか


今週の「そこまで言って委員会NP」が話題になっているので、補足しておこう。ゲストに出てきたケバい化粧の金慶珠という韓国人は、韓国併合のとき韓国人が「一進会」という合邦運動に100万人も署名したと私がいうと、「そんなもの本当にあったんですか」と驚いて、スタジオの失笑を買った。

さらに1965年の日韓条約について、彼女はこれを韓国の「請求権」にもとづくものだという。しかしサンフランシスコ条約で認められたのは、日本が占領し損害を与えた連合国の賠償請求権であり、日本の領土だった韓国に請求権があるはずがない。このとき韓国は、抗日戦争の「戦勝国」として21億ドルの「賠償請求」をアメリカに提出したが、一笑に付された。

しかし当時の韓国は最貧国で、朴正煕政権が「徴用工の未払い賃金などの個人賠償を一括して政府が受け取る」と要求したので、根拠不明の8億ドル(民間の借款を含む)の「つかみ金」を請求権という名目で渡したのが日韓請求権協定だ。このとき韓国は日本に対する今後一切の請求権を放棄することを協定に明記したので、強制連行や慰安婦などの個人賠償請求は条約違反である。

金氏によれば、この8億ドルは「日本にとってみれば非常に大金だけれども、韓国にしてみればそもそも試算した額の半分以下である。韓国の計算した20億ドルよりはるかに低い」というが、これは前述のサンフランシスコ条約のときの笑い話である。さらに彼女はこういう。

65年というのは、ベトナム戦争に参戦している年でもあるんです。このベトナム戦争をやっている間には米軍から多額のドルが入るんです。実は韓国の経済発展の虎の子は、より直接的にはベトナム戦争の際にアメリカから8年間入ったお金は、桁違いの現金なんですね。

これに対して洪熒・元駐日韓国公使は「韓国がアメリカから得た経済効果は、日本から10年間の借款入れ8億ドルの10倍だった」と答えているが、そのベトナム特需とはどの程度の額だったのか。

朝日新聞によれば、「韓国は65年から72年まで米国からのベトナム特需で潤い、その総額は10億2200万ドルにのぼる。うち72%が、労働者や軍人の送金、道路建設、浚渫工事、輸送など貿易外だった」。

つまりベトナム特需とは韓国人の戦地での労役についての支払いであり、日韓条約による無償援助(有償の2億ドルも返済されなかった)とはまったく性格の異なる商取引である。しかも10億2200万ドルが8億ドルの「10倍」とはどういう計算なのか。

スタジオでは歴史学者の朴一氏はさすがに嘘はつかなかったが、金氏は日韓併合の歴史も知らず、洪氏は「大韓民国政府は抗日60年戦争に勝利した政権だ」という妄想史観を繰り返した。こんな国と、まともな対話をするのは不可能である。