朝日新聞とハフポストのステマ“えん罪”事件

2015年09月03日 21:30

どうも新田です。若かりし頃に、裁判担当記者として民事での痴漢えん罪事件を取材したことがありますが、久々にその頃の戦闘モードです。


※ステマ狩り旋風の巻き添え案件浮上か
ハフポスト
■ステマ旋風の巻き添え案件か
ここ最近、山本一郎さんを核弾頭とするステマ狩り旋風がネットメディア・広告業界で広がっており、記憶に新しいところではヤフーニュースが疑わしいメディアを追放して関係者をガクブルさせたところです。その動きに続けとばかりに小洒落た、リベラル意識高い系メディアのハフィントンポスト様もステマ検証作業を始めたそうなんですが、検証記事の中でパージ対象の第1弾として名指しされた記事の執筆者の安藤光展さんがブログで反論するという、絵に描いたような“えん罪事件”になりそうな雲行きです。

[ご報告]取材記事のステルスマーケティングの疑いについて
本件は、取材先より金品の授受はありませんし、過去の取材先との取引実績もありません。また、知人より取材先の担当者をご紹介いただき、2回にわたる取材や撮影をさせていただき執筆した記事であり、知人の会社からもまた、金品の授受をしてはおりません。

そして、文面も極端に持ち上げているということもなく、商品・サービスのPRでもなく、プロジェクトご担当者のインタビューを交えながらユニークな取組みや、担当者の方の想いなどを記事化した、という認識です。気持ちとしましては通常の「企業の先進事例取材記事」のつもりでした。ですので、いわゆるステルスマーケティングや景品表示法違反の解釈とは異なると、私個人は認識しております。

■当事者に弁明の機会与えず
私も個人的に知っていますので、安藤さんの誠実な人柄は知っておりますが、その個人的関係性は一旦脇に置いても、ハフポの判断は拙速というか、ブログの文面やSNS上の情報を見る限りだけでも、どうやらご本人や、名指しされた形のメディアには「削除しました」という判決結果がメールでいきなり下されただけで、事情聴取や弁明の機会を設ける努力は行われなかったようです。

さすがにメディア関係者の関心も集まっています。
ロイターの志田記者。

プレジデントオンラインの吉岡副編集長。

ほかにも、ここには記載しませんが、メディア業界でそれなりの立場の方もSNSの非公開投稿で安藤さんへの同情の声が上がっています。

■対ハフポ訴訟検討も
まあ、ハフポストの体制は10人やそこらの貧弱な体制なので、この手のコンプラ調査案件となると、その実務は親会社の朝日新聞の法務担当者なりが後ろで糸を引いている可能性があります。日頃は人権や平和が大事だとか主張している天下の大新聞社が、罪刑法定主義や推定無罪の原則をすべてかっ飛ばして、いきなり“有罪判決”を下すというのは、どうなんでしょうかね。これ、寄稿元のブロガーやメディアにとっては結果的に名誉毀損になりかねず、表現で飯を食っている人にとっては死刑宣告と同じですよ。

関係先として全日空とか取りざたされた企業の名誉にも関わることです。こちらでも方々に取材をかけたところ、関係者曰く「比較的、知名度が高くないブロガーやメディアが狙い打ちされていて、泣き寝入りすると思っているんじゃないか」とのことですが、どうやら名指しされたメディアや記事中の企業の中にはハフポストへの訴訟も検討し始めたようです。それに、削除基準もよくわからないし、説明不足もいいところ。

■編集長の責任は大きい
それにしても、ハフポスト側も何を焦ったんでしょうかね。もしかしたら朝日から出向してきた出来の悪いバカ社員か、杓子定規な総務系人材が音頭をとってステマ対策に煽りに煽られて、即死刑宣告の北朝鮮も真っ青の措置なんじゃないか。またネトウヨから「さすがは中国や北朝鮮に甘いだけあるね」とdisられることは必至で、被害者が訴えたらそれはそれでまた築地は燃えそうです。

一連のステマ旋風に煽られる形で急いで取り組んだことはいいと思うんですよ。しかし拙速で杜撰さは否めません。調査チームの責任者は高橋編集長とのことですが、高橋さんは前任の松浦さんと違ってジャーナリスト出身なのだから、裏付け取材は心得ているはずで、なんで“容疑者”“被告人”に聞き取り調査しなかったのか。高橋さんは一度、お会いしたことがありますが、申し訳ないけど、今回の責任は大きいですよ。

■もはや赤狩り旋風化
一つ言えることはこういう乱暴なことをやるメディアに対して、もう企業広報は純粋なPR活動をやる価値は全くないですね。むしろ害やリスクでさえある。私は裏方として売り込む側としても、自分がブロガーとして書く側としても、ハフポストに取り上げてもらったことがありますが、ビジネス系のライターも純粋なビジネス記事を寄稿するのはもう考え直したほうがいいですね。危険です。そもそも原稿料タダでケチっているくせに、何様なんだろうかという声も出てくるんじゃないでしょうか。

一連のステマ狩りですが、もちろんステマはよろしくないとはいえ、もはや戦後史の勉強で習ったところのマッカーシーの赤狩り旋風と似ているようなヒステリックな状況になりつつあるのではないでしょうかね。しかし、ステマは行けないのだという善悪二元論の裏で、広告PR業界内で変化が起きているパワーバランスであるとか、メディア側の眼力がさらに厳しく求められているとか、色々と感じるところもございます。まあ、そのあたりのことも今後書いていきつつ、まずは朝日新聞とハフポストがどうするのか注目です。

■あの日からまもなく1年
しかし、仮に安藤さんが晴れて無罪認定となったら、アレですね。
折しも朝日新聞が、誤報問題の記者会見をして社内では「終戦記念日」と位置付けられている2014年9月11日から、もうすぐ1年。今度は、ハフポストのずさんな調査結果による“えん罪”事件をやらかして、朝日新聞は今年も11日に謝罪記者会見をすることになるんでしょうか。引き続き、本件、激しく傍観していようと思います。ではでは。

新田 哲史
ソーシャルアナリスト/企業広報アドバイザー
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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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