民主党の「復初の説」

2015年09月04日 00:05

kishimoto

岸本周平氏などの「民主党有志」が岡田代表に「民主党を解党して出直せ」という文書を出したらしい。解党するのはいいが、「国民の過半数が反対している安保法案」などと書いているようでは、また社民党みたいな「護憲政党」ができるのではないか。

安保条約の改正案が「強行採決」された直後の1960年6月12日に、丸山眞男は憲法問題研究会の主催する会で「復初の説」と呼ばれる有名な講演を行なった。彼は安保闘争の敗北を総括し、既成事実に弱く「もうできちゃったものは仕方がない」ので対応しようという日本人の態度が、かつての戦争に巻き込まれる原因だったと反省し、「初心に返れ」といった。

[条約改正が可決された]5月20日の意味をこういうふうに考えますと、さらにそれは8月15日にさかのぼると私は思うのであります。[…]私たちが廃墟の中から、新しい日本の建設というものを決意した、あの時点の気持というものを、いつも生かして思い出せ…

しかし彼の期待した労働組合は正社員の既得権を守る組織になり、それを支持基盤とする「革新政党」は十年一日のごとく「憲法を守れ」と繰り返すだけで、現在に至っている。

岸本氏も批判する通り、今国会の混乱の最大の原因は、安倍内閣が憲法改正を避けて解釈改憲で自衛隊の任務を拡大しようとしたことだ。おかげで憲法解釈をめぐる細かい意味不明の論争が続き、あげくの果ては憲法学者に「違憲だ」といわれて立ち往生する結果になった。

吉田茂首相は1946年に、憲法制定議会で「自衛権も含めてすべての戦力を放棄する」と答弁した。それをなし崩しに拡大解釈して再軍備を進め、野党もそれに「もうできちゃったものは仕方がない」という場当たり的な対応を繰り返してきた。

民主党を解党してリセットするなら、丸山もいったように1945年の原点に戻り、国民を守るためにはどういう憲法が必要なのか、根本から考え直してはどうか。時代錯誤の自民党の改憲案とは違い、国民主権を守って第9条2項だけを削除する最小限の改正を提案する政党ができてもいいのではないか。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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