安保訴訟で初判決。閣議決定こそ政府を縛れる --- 松田 公太

2015年10月09日 12:30

昨日、安全保障関連法の無効確認などを求めた2件の訴訟に、「具体的な権利義務に関する訴えではないため不適法」として、却下判決(中身の審査をせずに門前払いするというもの)が下されました。安保法に関する訴訟で判決言い渡しが明らかになったのは初めてです。


※安保法関連訴訟で初の地裁判決は「却下」に終わった(出典・陸自公式サイト)
対空実射検閲(第13高射特科中隊)
これらは、東京都中央区の男性と松山市の男性が、「憲法改正手続きを経ずに国民の同意なく行われた法律の成立は無効」などと主張し訴訟提起したのに対し、東京地裁の増田稔裁判長が、「一般的、抽象的に法律が憲法に適合するかどうかの判断を求める訴えで裁判所の審判の対象にならない」としたのです。

9月19日の成立直後から全国各地で訴訟の動き相次ぎましたが、このような結果になることは予想されていましたし、今後は他の訴訟でも同様の取り扱いがなされるでしょう。

最高裁は、裁判所が審判することのできる対象について、「当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、それが法令の適用により終局的に解決することができるものに限られ」、「具体的な事件を離れ、抽象的に合憲性を審査する権限はない」としているからです。

違憲立法か否かを最終的に判断するのは最高裁であることは間違いないのですが、そもそも審査してもらうのには様々なハードルがあります。衆参両院の審議でも度々取り上げられていた「統治行為論」や、今回の訴えの適法要件(「法律上の争訟」の要件)等です。

まず立ちはだかった「法律上の争訟」。具体的事件として訴えを提起しなくてはならないというこの壁を乗り越えなくては、下級裁判所に合憲性の審査をしてもらうことすらできません。

仮に、この要件をクリアしたとしても、地裁・高裁での判断が示されるまでにどれだけ時間が掛かるか分かりません。そして、ようやく最高裁での審理に入れたとしても「統治行為論」を使われてしまうおそれがあります。

法文の修正はほぼ不可能という現実、そして下級裁判所の判断に内閣が従うことのない状況を踏まえると、閣議決定だけが政府を縛ることのできる最後の可能性でした。

それを踏まえた上で元気会・改革で立案し、次世代と共に提出した修正案が付帯決議と閣議決定されたことにより、最終的な司法判断がなされるまでの間、政府の独断・暴走ができないような縛りを得ることができたのです。

国会審議中に廃案を叫び、成立後は憲法違反を理由に無効を主張する。
国会議員としてもそのようなやり方を選んでいたとしたら、これから数年の間に政府が集団的自衛権の行使を行おうとした場合、完全なフリーハンドを与えることになっていたでしょう。

元気会のとった方策にはいまだに厳しい意見も頂きますが、来年の参院選、次回の衆院選等で、日本の安全保障について国民が判断する機会を確保できました。

どちらかで与党の過半数割れを実現することができれば、少なくとも国民が一番心配していた集団的自衛権の行使(存立危機事態)に対して完全に歯止めをかけることができるのです。是非その点も重要争点として考えながら、投票に行って頂ければと思います。外交防衛の在り方を決することができる一票を皆さんは手にしたのです。

松田公太宣材


編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2015年10月9日の記事「最高裁が判決を下すまで」を転載させていただきました(見出しはアゴラ編集部で作成)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。


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