マクドナルド化するAmazon Japan

齊藤 豊

マクドナルド化とAmazon
マクドナルドが日本の消費者の信頼を失って久しい。マクドナルドの敗因は本社と現場の乖離にあると考えられる。顧客の声は現場で拾うことができる。本社が常に現場の意見を吸い上げ、マーケティング施策などにそれを反映させれば、顧客満足度の継続的な向上が図れる。しかし、本社が収益向上もしくは費用削減を理由に現場の声を聞かずにマーケティング施策を立案し、実行すれば、現場と顧客の反発を招き、顧客サービスの劣化と客離れが起きる。このシグナルを早期に掴み、早急にマーケティング施策を変更すれば、顧客満足度は回復するが、シグナルを掴み損ねると泥沼へと引き込まれる。現場に不満があるとミスが多発し、大きな事故へとつながる。SNSでの炎上もその事故のひとつである。マクドナルドの場合は異物混入によって炎上した。同様のことが今、Amazon Japanにも起きつつある。


Amazonにおける顧客満足度の低下
私はAmazonのヘビーユーザのひとりであり、2014年に306回もAmazonに発注している。平均して週6回程度になる。おかげでAmazonにまつわる様々な事象を経験している。その私が、今年に入ってからAmazonのサービスが急速に劣化していることを感じている。例えば、納品書の同梱されない商品が増えている。いっそのこと、すべての商品で納品書が同梱されないなら対応しやすいのであるが、納品書が同梱される商品とされない商品があると企業における検収作業がややこしくなる。

例えば、ある企業が納品書と領収書の2点で検収している場合、納品書がないと検収できない。購入者が「最近、Amazonから購入すると納品書が添付されないことがある」と財務部門に経緯を説明しても、にわかには受け入れられない可能性が高い。昨年まではAmazonは、カスタマーサービスに問い合わせをして要求すれば、納品書を郵送してくれたので清算できたが、現在ではなんだかんだと理由を付けて郵送してくれないので清算できない。清算できないならAmazonでは購入しない、という方向に進んでいる。幸い、Amazon以外のヨドバシ.comや楽天、アスクルなど代替購入先はいくらでもあるので、サービスの劣化したAmazonで購入しなければいけない理由は見当たらない。

本社の暴走か?
Amazonはマクドナルドと同様に現場を通して顧客の声を聞かなくなった。昨年まではAmazonは現場を通して顧客の声を良く聞いていた。カスタマーサービスの対応も良かったので、顧客満足度は高かったと考えられる。しかし、現在は、本社の方針で一部商品への納品書の添付を止め、カスタマーサービスの対応も慇懃無礼になった。

Amazon Japan本社が何を考えているか、分からないが、これ以上、Amazonを使うことに一抹の不安を感じずにはいられない。明らかに顧客満足度は下がっている。こういった状況では現場の不満、例えば、配送業者の不満によって、配送事故が起き、それをきっかけに炎上する事件がいつ起きても不思議ではない。個人的には今年の年末あたりに大きな配送事故が起きそうな予感がする。Amazonのヘビーユーザーのかたは、ご注意召され。

齊藤 豊(大妻女子大学人間関係学部教授)

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