選挙が苦手な人でも投票したくなる映画(洋画編) --- 選挙ドットコム

選挙をもっと身近に感じるための選挙カルチャー入門。前回に引き続いて今回は洋画の選挙映画をご紹介します。大統領選挙を中心に、ドキュメンタリーからコメディーまで幅広くご紹介します。

日本では珍しい選挙映画ですが、海を渡ればアメリカを中心にたくさんの作品が制作されています。その中心はやっぱり「大統領選挙」! 上院議員選とか、州知事選の映画もあっていいような気がしますが、そういう小さな選挙をモチーフにした作品はあまり見かけません。あ、生徒会選挙を扱った作品はありました。でもそれは別の話ということで、今回は大統領選挙映画を特集してみました。


マイケル・ムーア監督『アホでマヌケな大統領選』2005年
『バカでまぬけなアメリカ白人』、『華氏911』など刺激的な社会派ドキュメンタリーで世界中の注目を浴びるマイケル・ムーア監督のドキュメンタリー。
ahomanuke
2004年の共和党代表のブッシュVS民主党代表のケリーの対決を描いているような、いないような映画です。本題はアメリカでも保守派が多いユタ・バレー・ステイツ・カレッジ(UVSC)で起こったゴタゴタで、反ブッシュ派の急先鋒だったマイケル・ムーア監督を招聘しようとした学生が巻き込まれるトラブルの数々! 彼がアメリカでどういう存在なのかがよくわかります。

政治に対して発言することの難しさ、そして言論弾圧に対抗する学生たちの姿には胸を打たれます。でもすごいダークなギャグも効いています。最高でした。


バリー・レヴィンソン監督『ロビン・ウィリアムズのもしも私が大統領だったら…』2006年
原題は『Man of the Year』。いいですね。邦題だと誰がでてるかよくわかります。でも残念ながら日本では劇場公開されず。僕も大統領選挙の映画ないかなーっと探していたら見つけた一作。
robin
テレビで辛口批評家が400万人のメールに勇気づけられ大統領選挙に出馬することに……! 最初はコメディテイストだったのが、後半は電子投票システムをめぐる陰謀とサスペンスとアクションになり、なんだかよくわからないまま終わってしまう映画でした。

非常にその……混沌としていて、無理をしてまではオススメしなくても……というのが正直な感想です。じゃあなんで紹介したんだよ!! とか本気で突っ込まれそうですが、電子投票システムだったり、辛口批評家が無責任な国民に無責任にプッシュされて立候補したりするところに、なんとなく2015年の某国を見ているような気がするのでした。


トム・ハンクス製作総指揮『ゲーム・チェンジ 大統領選を駆け抜けた女』2012年
こちらは劇場映画ではなくテレビ映画。日本ではWOWOWで放映されました。2008年、オバマ大統領を生み出した共和党と民主党の選挙戦を描きます。同選挙を取材したJ・ハイルマンとM・ハルペリンの『大統領オバマはこうしてつくられた』という本を下敷きにしています。
gamechange
オバマ候補の対抗馬として登場したアラスカ州女性知事ペイリンを対抗馬にしていきます。ところが、ペイリンは保守的な政治家であり、だんだんと民主党の愛で軋轢が生まれていきます。超豪華キャストで描かれる大統領選挙の真髄。非常に面白かったのですが、簡単には見られないのが問題。WOWOWさん、早くなんとかしてください!


クリス・ロック監督『ヒップホップ・プレジデント』2003年
前回も三宅洋一さんを取り上げたので、今回もミュージシャンの大統領選挙映画を取り上げます。選挙と音楽ってなんかこう、引き合うものがあるんでしょうか。
原題はHead of State。でもちゃんと、ヒップホップしたり、DJしたりします。
headofstate
バラク・オバマ大統領の登場を予言していたと各方面から評判のクリス・ロック主演監督作品。市会議員がひょんなことから大統領選挙に出ることになったというストーリー。支持率ひとケタ台からうなぎ登りに人気者になっていくという、非常によく出来たハートフルコメディで、ほわーと見てると幸せになれます。たぶん、演説のシーンでは一生懸命民衆に訴えかけるクリス・ロックの姿が見られます。僕にはあまりよくわからなかったのですが、黒人がよく使うスラングが織り込まれているんだそうです。なんだかんだで劇場未公開だそうですが、DVDが出ています。僕は藤原啓治さんの吹き替えで見ました。なんかこの、いろいろすみません。

ほかにも大統領選挙を扱った映画はたくさんあり、選挙を戦うリアルな作品だけではなく、コメディーからサスペンスまで様々な作品があります。映画の素材になるほど一般化した大統領選挙と比肩するぐらい、日本の選挙も盛り上がっていくといいなと思いつつ今日はこれまで!

(関連リンク)選挙が苦手な人でも候補者たちの熱意に必ず一票入れたくなる「選挙映画」【邦画篇】


安倉儀たたた:ライター/エディター
1984年生まれのぐうたら生きてる趣味人です。KAI-YOU.netでは「新世紀の音楽たちへ」を連載中。選挙恐怖症を乗り越えるべく、読者と一緒に〈遠巻きからの選挙入門〉をしていく所存です。https://note.mu/akuragitatata


編集部より:この記事は、選挙ドットコム 2015年10月27日の記事『選挙が苦手な人でもコメディからサスペンスまで必ず釘付けになる「選挙映画」【洋画編】』を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は選挙ドットコムをご覧ください。なお、アゴラでは寄稿者は原則実名制とさせていただいていますが、この連載は配信元が身元確認の上、契約している筆者であること等を考慮し、ペンネーム原稿を掲載しました。ご了承ください。