悩める子供に寄り添う教師の資質はここが違う --- 天野 信夫

私が先輩の校長先生からいただいた色紙には、「教師の姿勢4つの要素」と書かれ、「人間性」「熱意」「実力」「教え方」が記されていました。書いた校長先生は、多分、重要順に4つを挙げたものと思われます。この4つの要素は、そのまま教師に必要な資質に置き換えられそうですが、他にもいろいろ考えられます。「使命感」「明るさ」「心身の健康」等も挙げられるかもしれません。もう少し、私も考えてみました。
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学校には、とても貧しい家庭の子、家族間に厳しい背景を抱えた子、治療が難しい病気を持った子、いじめられる子、その他人間関係のトラブルに悩む子、等々がいます。その問題に気づいた教師は何とかしてあげたいと考えますが、勿論できることとできないことがあります。子どもが抱えている問題の多くは、本人の責任ではないところに起因しているからです。上の例で言えば、いじめと人間関係以外は、教師にもなかなか解決は難しいだろうと思います。

だからその教師には何もできないかというと、そうではありません。子どもの悲しい心に寄り添い共感することができます。問題自体は依然解決されませんが、教師に共感してもらうことで子どもの心の悲しみは和らぎます。寄り添い共感するためには、子どもの心の悲しみにまず気づく必要があります。子どもの心の悲しみに気づいてそれに共感できるかどうか、これが教師に必要な大事な資質のひとつである、と私は考えます。

ただ残念ながらこの資質は、いくら本を読んでも、いくら研修を積んでも、頭で理解はできてもなかなか身につけるのは難しいかもしれません。悲しみに気づくまではできるかもしれませんが、なかなか共感までは難しいでしょう。この資質の由来が、教師自身の幼い頃の悲しい体験に根ざすものだろうと思われるからです。努力次第で獲得できる他の資質とは、ここが異なる点です。

私は残念ながらそうではありませんでしたが、子どもの心の悲しみを感じ取り、寄り添って共感できる教師は確かにいます。そういう資質を持った教師がもっと増えれば、日本の学校はもっと良くなるはずだと思います。

天野 信夫
無職(元中学校教師)
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