様々な家族のあり方を受入れ始めた日本社会 --- 松田 公太

昨日、渋谷区で「同性パートナーシップ証明書」の交付が始まりました。

第1号を受取った増原裕子さん(経営者)と東小雪さん(元タカラジェンヌ)からは、「住んでいる街で家族として認められたことに、とても感激しています」と喜びが語られました。

また、同日午後からは世田谷で、同性のペアから宣誓書を受付け、区がそのことを証明する受領証を発行するという取組みがスタートしました。
初日は7組が受領証を受け取ったそうです。

両区の制度は、条例に基づくのか否か、公正証書の要否等の違いはありますが、行政が公的に同性カップルを家族と認証する画期的なものです。

※日本社会でも多様な家族のあり方を許容する動きが広がるか(作成alant79、アゴラ編集部)
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そのインパクトは大きく、連日このトピックに関する報道がなされ、これまで見落とされてきた同性婚やLGBTのことが一気に国民に知られるようになりました。また、同性のパートナーであっても家族割引の対象とする、死亡時の保険金の受取人として認めるといった携帯電話各社や生命保険会社などの対応の変化にもつながりました。

しかし、これらの制度はそれぞれの区に2人とも住んでいなければならないという制限があります。そのため、恩恵を受けることができる人は当分の間は一部の人だけでしょう。

ドコモやKDDI、日本生命や第一生命といった民間から徐々に起こってきている良い流れを太く確かなものにするためには、やはり国がアクションを起こす必要があります。

今年2月18日の参議院本会議で、私が同性婚と憲法の関係について質問したとき、安倍総理から「現行憲法の下では、同性カップルの婚姻の成立を認めることは想定されない」と、24条についての初の政府見解が述べられました。

その是非については争いがありますが、仮にそうであるならばこの規定の改正について国会で議論されなくてはなりません。

前国会では、日本を取り巻く安全保障環境の変化を理由に集団的自衛権の行使を一部容認する安全保障関連法案が提出され、憲法9条との関係について審議されましたが、家族のあり方についてはそれ以上に変わってきているからです。

2001年以降様々な国と地域で同性どうしの婚姻が可能となっていますし、2014年には国連が全職員に同性婚を認めています。そして近年は、国内でも法制化を求める声が増えてきており、企業による前向きな取組みなどもあり社会から受入れられ始めています。

どういった家族をもつかというのは、個人の尊厳に直結する非常に重要な事項です。国内外で状況が劇的に変化したのに旧制度のまま何ら検討を行わずに放っておくことは許されません。早急に、次の国会で婚姻制度について根本から話合うことが必要です。

そのためには法案が不可欠ですが、我々日本を元気にする会では提出の準備を進めています。24条については政府の解釈が論理的に絶対のものではなく、同性どうしや届出を出さないという選択をしたカップルであっても法律によって保護を受けることが可能なはずです。まずは現行憲法の下で、同性婚や事実婚が不利益を受けない社会にするために国を動かしたいと考えています。

また、同条については夫婦別姓の問題もあります。先日、これを認めない民法の規定が憲法24条・13条違反ではないかが争われている裁判で大法廷弁論が開かれ、早ければ年内に最高裁の判決が下されます。こちらについては2003年と2009年に、国連の女子差別撤廃委員会から「男女の差別的規定だ」として改善の勧告もなされていますが手付かずになっています。本来であれば、国会が自ら解決に乗出さなければならない問題ですが、当面は終審裁判所による憲法判断に期待したいと思います。

日本でも、ようやく多様性に向けた潮流が生まれてきました。これを機に、マジョリティもマイノリティも全ての人が幸せになれる国づくりを進めていきたいと考えております。国民の声が大きくなることが最大の後押しとなりますので、皆さんのご支援、宜しくお願い致します!


松田公太宣材


編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2015年11月6日の記事を転載させていただきました(画像はアゴラ編集部担当)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。