誰でもなれる?議員秘書 秘書の作り方マル秘講座① --- 選挙ドットコム

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みなさん、こんにちは。鈴鹿久美子と申します。

ご縁を頂戴し、この度、選挙ドットコムさんにて「議員秘書」のコーナーを持たせて頂くことになりました。私は、国会議員を経て、今は国会議員秘書の育成と人材紹介の会社を運営しています。

ニュースや新聞で見るのは「議員」と「国会・政治情勢」。議員秘書ってその陰でどんなことをしているの?とよく聞かれます。

ヒミツの多い世界ですが、ここだけのギリギリ話もお伝えして参りますね。


第一回の今日は、
「議員秘書」ってどうやってなるの?をお話しします。
「議員秘書」というとどんなイメージが浮かびますか?ダークスーツにPCの入った黒い鞄。手帳を広げて、メモを走り書き。眉間にしわを寄せながら、メガネは、やはり掛けている?
そしていつも忙しそう、ですよね。

リクナビで探しても「議員秘書」という項目は見つかりません。ハローワークに行っても「該当無し」。
では、どうやってなるの?

実際に議員秘書さんたちに経緯を聞くと、多くが「選挙を手伝ったことがきっかけで」と答えます。私もそうでした。

衆議院はいつ選挙があるか判らない「常在戦場」といって、常に「解散」の危機を抱えています。いざ「解散」となったときに準備万端であればよいですが、なかなかそうはいかない。そしていつも不足しているのは「優秀な人材」です。

選挙は民主的な殺し合いですから、選挙期間中は敵陣だけでなく、選挙事務所の中も争いが絶えません。

もう10年以上前のことですが、私が入った選挙事務所での出来事です。

選挙戦も中盤に差し掛かったころ、深夜の選対会議で、明日の街宣車はどこを回るのか議論になりました。選挙期間中は、日ごろ応援頂いている後援会の方から「いつになったらウチの町に挨拶に来るんだ!まだ声も聞いていないぞ!」と叱られることがあります。

また、「ポスターローラー」といって、選挙前に何か月もかけてポスターを貼らせて頂く活動をしてきたスタッフは、お世話になった方の地域を回って挨拶すべきだと熱弁します。

どちらのスタッフも関わった地域の方々にご恩をお返しをしようと一生懸命なのですが、後援会担当スタッフは後援会長の家の近辺を、ポスターローラー担当は、外塀を貸してくださった地域を一日も早く周るよう街宣車の予定を組みたがったのです。

真剣に当選を願っているだけ声も大きくなり、とうとうケンカに。睡眠不足と疲労が増していることも手伝って、怒鳴り合いから取っ組み合いに至るにはそう時間がかかりませんでした。

「やめなさい!」の声も空しく、気が付いたら上に圧し掛かっていたスタッフの目元からは血が噴き出し、下に押さえつけられたスタッフの前歯が折れていました。

真剣だからこそではありますが、ちょっとこれは頂けません。

それでも選挙戦は続きます。翌朝二人はいつものように担当の仕事をやり抜き、結果、勝利を得ることができました。

その後、その一人は候補者の秘書に、もう一人は別の議員の秘書となりました。
選挙中は候補者も寝る間を惜しんで活動します。その苦しみを共にしたスタッフは正に戦友。短期間でも情が移るのは当然でしょう。

それで、選挙を手伝った人の中から秘書を採用する、ということが多くなるのです。
でも、だからと言ってこれが長く続くかというと別の話です。

選挙と国会実務はこれもまた全く種類の違う仕事。
選挙の勢いで秘書になった場合は、6ヶ月前後で離職となることが多く、相談件数も増えるのが実情。
秘書の常套句「今どこにいるの?」が生まれるのもこんな背景があるからでしょう。

では、どんな秘書がその後「デキる秘書」として仕事を続けることができるのでしょうか。
次週はこのお話をしますね。


鈴鹿久美子:国会議員秘書の養成・人材紹介、国会議員のコンサルティング会社社長。
司法試験に落ち憂さ晴らしで手伝った参議院選挙を機に国会議員政策担当秘書へ。15年に及ぶ議員秘書、選挙経験で「勝つノウハウ」を積み上げる。
2011年、議員秘書の紹介事業を立ち上げ、マスコミから注目を浴びる。2014年には「立候補者スキルアップ講座」を実施。秘書経験者、未経験者を含め翌年の統一地方選挙で100%当選を果たす。「勝たせ屋」


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編集部より:この記事は、選挙ドットコム 2015年12月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は選挙ドットコムをご覧ください。