大震災の教訓、ため池の耐震化を急げ。 --- 玉木 雄一郎

東日本大震災では、津波の被害が大きく取り上げられた。その一方で、内陸にある「ため池」が決壊し、「内陸津波」による犠牲者が出たことはあまり知られていない。

なかでも福島県中通りの藤沼貯水池では8名の尊い命が奪われ、19棟が全壊、55棟が床上床下浸水した。

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▲東日本大震災で決壊した藤沼ダム(Wikipediaより、アゴラ編集部)

私の地元・香川にも約1万6千のため池がある。

30年以内に70%以上の確率で発生すると言われている南海トラフ地震の国による被害想定でも、「ため池の堤防が決壊し土石流や洪水に巻き込まれて死傷」とされている。

民主党政権時代、土地改良予算を担当していたこともあって、平成23年度三次補正予算で、ため池の対策予算を新設・拡充した。

しかし、震災から5年近く経ったいま、国の予算を見てみると、どうも関心が薄れてきているような気がしてならない。

特に、ハザードマップをつくったりするための定額補助は、今年度限りとなっている。

そこで、先週の農林水産委員会(動画はこちら)で改めて予算の確保を求めたところ、農水省から、

「ため池の防災・減災対策に当たりましては、東日本大震災により甚大な被害が生じたこともあり、ため池の一斉点検を行い、また、その結果を踏まえて、特に、下流に人家や公共施設などが存在して、決壊した場合に影響を与えるおそれがあるため池を重点的に詳細な調査を行った上で、 ハード対策と、おっしゃったソフト対策を適切に組み合わせて耐震対策を進めていく方針でございます。」

「農林水産省としては、地方公共団体などが計画的にため池の耐震対策に取り組めるよう、ため池整備を含む農村地域防災減災事業を実施しておりまして、これは継続分を含めて予算の確保に努めてまいりたい。」

との答弁を引き出した。

行政として耐震不足を把握しておきながら、万一のことがあれば、責任問題となる。
耐震調査の結果、耐震性不足が確認されたため池の数は、なんと1,787にのぼる。

予算の制約はあるが、そこを乗り越えるのは政治の仕事だ。
森山農水大臣にも、ため池のことを忘れないよう、直接お願いした。

光の当たりにくい話ではあるが、今後も「ため池応援団」として問題に取り組んでいきたい。


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編集部より:この記事は、衆議院議員・玉木雄一郎氏の公式ブログ 2015年12月16日の記事を転載させていただきました(アゴラ編集部で画像編集)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はたまき雄一郎ブログをご覧ください。