クラウドファンディングのメッセージに感涙した件 --- 駒崎 弘樹

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現在、2週間に1人、虐待死している赤ちゃんを助けるための「赤ちゃん縁組」事業立ち上げのためのクラウドファンディングを行っているのですが、1週間で約1,600万円もの寄付を頂きました。
 
この金額も嬉しいのですが、さらに嬉しいのが、寄付とともに頂くメッセージです。(全て目を通しています。)
 
幾つかご紹介させてください。
 

「産婦人科医で不妊の人・望まない妊娠の人どちらにも関わっています。私の立場ではなかなかマッチングできないのでぜひ頑張ってください。望まない妊娠のひとも支援があれば、健診にきてくれるでしょうか、そうなると赤ちゃんだけでなくお母さんも助けることができますし、周産期医療も助かります。」

そうなんですよね。産婦人科では、健診に来ないハイリスク妊婦の出産は引き受けられない場合が多いんですよね。だから自宅のトイレ等で出産してしまう。しかしそれは産婦人科が悪いわけではありません。出産の時に何かあれば、彼らが責任を取ることになってしまうからです。

望まない妊娠をした方々とともに、病院に同行し健診を受け、というのも、この赤ちゃん縁組の一環です。それによって、赤ちゃんが助かるだけでなく、生みの親も、そして安全に分娩ができる産婦人科医にとってもプラスになるのです。
 

「私は、来年還暦を迎えるゲイの男性です。私たちの世代は、セクシュアルマイノリティーが公に認められるカタチで家族をつくり、子供を養うことなど考えられませんでしたが、若いセクシュアルマイノリティーには、その可能性も十分にあると思います。セクシュアルマイノリティーカップルが、特別養子縁組の養父母になるためには、さらに多くの障壁があると思いますが、いつの日にか、そんなバリアが取り払われること、そして何より、不幸な赤ちゃんがこの世からひとりでも減ることを願い、寄付をさせていただきました。」

 そうです、今は性的マイノリティの方々の同性婚は、法的には結婚と認められないので、特別養子縁組は法的にはできません。しかし、海外ではお父さんが二人、お母さんが二人いる家庭だってあり、幸せに暮らしています。

赤ちゃん縁組が広がる。同性婚も結婚と認める、そして同性婚カップルでも赤ちゃん縁組ができるように、など幾つも壁がありますが、いつの日かそれが当たり前になるように、まずは一つ目の壁を突破していきたいと思います。
 

「私の場合は子供を授かりたくても授かりにくいようです。1人目は諦めかけた時に授かり、今は2人目不妊に悩んでいます。どうか1人でも多くの赤ちゃんの命が救われますように。
そして、生みの親さんの心が1人でも救われますように。」

 不妊と言うと、一人も授からない、という状況をイメージしがちですが、2人目不妊、という状況もあります。(僕の友人にも何人かいます)

そうした際の選択肢として赤ちゃん縁組があれば。ある日兄弟がやってきてくれた、子ども達はどんなにか嬉しいでしょう。育ての親達は、どんなにか幸せでしょうか。

赤ちゃん縁組が当たり前の世界が、待ち遠しいです。
 

 
こうしたメッセージを読んでいくにつれ、スクリーンが涙で曇っていきます。
寄付は単なる数字ではありません。そこには「思い」と「願い」がこもっています。
 
僕たちは、そうした思いや願いを託されたと感じます。そして、「必ず実現しよう」と奮い立つのです。
 
目標金額まで、あと40%弱。マラソン大会で言うと「えぇぇ、あと半分近くあるんだ・・・」と泣きたくなる地点です。しかし、心折れず、世の中に呼びかけていきたいと思います。
 
皆さんも是非、引き続きお力をお貸しください。シェアやリツイート、ご自身のブログやクチコミ等で広めてください。まだご寄付いただいていない方は、金額の寡多に関わらず、我々に託していただけると嬉しいです。
 
皆さんと共に、目標金額を達成できたら嬉しいです。このままだったら存在しないだろう、「もう一つの未来」を創るために。
 
https://readyfor.jp/projects/akachan-engumi/


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編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2015年12月19日の記事『クラウドファンディングのメッセージに、涙ちょちょきれた件について』を転載させていただきました(タイトルはアゴラ編集部で改稿)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。