立憲主義って何?

2015年12月21日 10:34


けさの朝日新聞の「天声人語」は、共産党系の団体が「野党統一候補」を支援する動きを賞賛して、こう書いています。

▼安保関連法が成立しても憲法違反は憲法違反。そう考える学者の会やママの会、学生団体SEALDs(シールズ)などの有志が「市民連合」を結成し、きのう記者会見した。来年の参院選に向け、法の廃止や立憲主義の回復で一致する野党候補を支援するという▼右か左かでなく、保守か革新かでもない。立憲か、非立憲か。再び鮮明になってきた対抗軸である。

戦前には朝日新聞記者の尾崎秀実がソ連のスパイになって日本に共産革命を起こそうとし、戦後は文化大革命を賞賛した朝日新聞は、冷戦が終わって対抗軸に困っていましたが、ようやく「立憲主義」というスローガンを見つけたようです。

彼らがこれほど重視する立憲主義とは何でしょうか。芦部信喜『憲法』によれば、それは「個人の権利・自由を確保するために国家権力を制限すること」で、政府が法律にもとづいて行動しなければならない「法の支配」というルールです。

こんなことは近代国家では当たり前で、今ごろ争点になるような問題とは思えませんが、福島みずほさんによると、安倍政権の“戦争法”は立憲主義を踏みにじっており、「今起きていることは“クーデター”」だそうです。

これは昔の社会党の主張に似ています。土井たか子委員長は「自衛隊も安保条約も憲法違反だから廃止すべきだ」と主張していました。憲法第9条では「陸海空軍その他の戦力は保持しない」と明確に規定しているので、これは立憲主義にもとづく正しい解釈です。

しかし村山富市委員長は、首相になると「自衛隊も安保も合憲だ」と(根拠は不明ですが)主張を転換してしまいました。おかげで社会党は総崩れになり、その後は「社民党」と名前を変えて細々と生き延びてきました。

朝日新聞も社会党も、終戦直後は社会主義の理想を信じていたのですが、そのうちスターリンや毛沢東が何千万人も虐殺していたことがわかって社会主義を支持する人が少なくなり、社会主義を隠して「憲法第9条を守れ」というスローガンに変えてきました。

それでも土井さんのころまでは「憲法違反の安保も自衛隊もやめる」ということで、論理的には一貫していたのですが、村山さんはその解釈を変えてしまいました。こういうふうに憲法を改正しないでなし崩しに解釈を変えるのを解釈改憲といい、これは自民党と同じです。

解釈改憲は、憲法にもとづかないでその憲法を実質的に改正してしまうのですから、立憲主義に違反していますが、社会党も朝日新聞も解釈改憲してきたのです。安保法制が憲法違反だというなら、なぜ土井さんのように安保・自衛隊を廃止しろといわないのでしょうか。

福島さんは安保法制を「廃案にする」と言っていますが、社民党は参議院でたった3議席。来年の選挙では福島さんも落選するといわれ、東京選挙区には「桃色ゲリラ拷問ライブショー」で**にバイブ(よい子は意味がわからなくてもかまいません)を入れて子供に見せた増山麗奈さんを立てるそうです。

要するに立憲主義というのは、社会主義が崩壊し、一国平和主義もだめになって落ちぶれた左翼の人々が、最後にとなえる呪文みたいなものです。それを野党統一候補の「対抗軸」にしようというなら、来年の選挙では「自衛隊・安保の廃止」を民主党から共産党まで掲げて闘ってください。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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