コンテンツ・デジタル集積特区、CiP宣言5 --- 中村 伊知哉

東京港区のベイエリア、竹芝地区にデジタル・コンテンツの街を創る構想、CiP(Contents Innovation Program)。発足に当たっての宣言、ラスト。

5) ビジネス拠点と政府連携

起業支援及びビジネスマッチングは、理事・会員の意向とアイディアに負うところ大である。CiPは業界横断のコミュニティであるから、情報交換や連携活動を通じたビジネスの生成が本来期待されるアウトプットだ。まずはそのコミュニティ機能を活発にする。

その上で、起業支援に関して、CiPとしてプログラムを形成し、資金の出し手と起業家とのマッチングを行うことが考えられる。

既に、クールジャパン機構、産業革新機構はじめ政府系の資金セクターのほか、金融機関や民間ファンドとの意見交換を始めている。コンテンツやIT分野への投資に積極的な事業会社やエンジェルとも検討を進めている段階だ。CiPとしてファンドを組成することもあり得る。

ビジネスマッチングでも、サロンやイベント、分科会などでの交流だけでなく、具体的なプログラムを形成する。例えば現在、日本動画協会が中心となって、アニメ業界と他の業界とのマッチング策を進めている。こうした活動をCiPとも連動して広げたい。

これら活動は政府・自治体とも連携を図りたい。そこで現在、首相官邸、内閣官房知財本部、総務省、経産省、東京都等と連携策について意見交換を行って。取り分け、竹芝地区は国家戦略特区として位置づけられており、政府に知恵とアイディアを寄せて、これまで日本では実行不可能であったプロジェクトを遂行したい。

特区のアイディアとしては、例えば著作権特区として、この場であれば蓄積・公開できるアーカイブやマーケットができないだろうか。あるいは電波特区として、通信・放送融合実験ができないか。サイネージ特区として、屋外表示規制を解除し、区域一面の大規模な映像表現ができないか。ドローン特区での大規模ドローンレース、ロボット特区での自動運行、超人スポーツ特区でのサイボーグ対戦。全て実施してみたい。

なお、韓国は政府が「コンテンツ・コリア・ラボ」を設立し、コンテンツの人材育成から起業支援までを国費で実施している。一方、CiPは産学連携の構想であり、現時点では資金面で政府の支援は予定されていない。プロジェクトベースで財政措置を要するものがあれば検討することとする。

CiPは、これら全てを行うための場である。1.5haの都有地に39階の業務棟を建設し、ラボや教室、ホール、スタジオといった8,000㎡の共同施設を設ける計画だ。このうち800㎡はCiP協議会が利用するコミュニティゾーンも用意する。これとは別に、現在もあるイベントスペース「産業貿易センター」も存続する。その上にオフィスが置かれる。

エリアの完成は2019年度。プロジェクト開始から5年の期間がある。その間、CiP協議会は精力的にプロジェクトを進める。2015年から活動を始め、2019年度に街開き、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで内外に発信する。

街開き後は、内外のプレイヤーを集結し、研究開発機構も整え、国際的な拠点として注目を集める場としたい。
(つづく)


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2016年1月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。