警察・パチンコ業界は釘に関するごまかしはやめるべき --- 宇佐美 典也

2016年01月15日 10:00

引き続きパチンコvw問題についてです。

この問題、不正遊技機を1年程度は放置して店に置き続けようとする動きが業界の中で広まりつつあり、改めて業界の無責任さに震撼し失望しております。いったい年末の記者会見はなんだったのでしょうか。私に出来ることは限られていますが、業界がきちんと責任を持って動くまでネットの片隅でこの問題を主張し続けようと思います。

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さて今回のテーマは「釘調整に関する制度論のごまかし」です。

これまで散々述べて来た通り、パチンコメーカーは検定試験通過後に遊技機の釘の角度を変えることで性能を大幅に改変し不正にギャンブル性を上げて来たわけです。そんなわけで一部では「原因は釘だ!」ということにして、これを機に

「この際だからもう釘調整が出来ないように釘を真鍮製からプラスチック製に変えてしまおう。そうすれば釘の角度は変えられず二度と同じことは起きることはなくなる。」

といういわゆる「封入釘への転換」を主張する論調が生まれつつあります。

結論から言えば私はこうした意見は、いわゆる「ためにする議論」だと思っていまして、いたずらにホール/メーカーの新遊技機の導入・開発・メンテコストが増え、パチンコユーザーは混乱し、なおかつ本質的な問題はなんら解決しないという皆が不幸になる最悪のものだと思っています。

そのようなところにコストを使うならば、その費用は本来ギャンブル依存症対策に充てるべきでしょう。そもそも問題の本質は「釘を調整した」ことではなく「違法水準に遊技機の性能を改変をした」ことだと思うのですが。。。それになんとなくこの封入釘の議論には裏があるのではないかと感じています。もっと直裁に言えば「封入釘にすると業界が混乱しちゃうから、今のままなにも変えないでもよいよね」という方向に業界が議論を誘導しようとしているのではないか、というきな臭いものを感じています。

これは大事なことなのですが、そもそも制度上「釘を一切いじってはいけない」というパチンコホールの思い込みは間違っています。釘をいじってはいけないのはパチンコメーカーで、ホールは必ずしもそういうわけではありません。そんなわけで今回は少し複雑になりますがホールの釘調整に関する風営法上の論点を整理します。

20-10

風営法では第二十条第十項(9条の読み替え準用規程⬆イメージ参照)において「遊技機の増設、交替その他の変更をする時は(軽微な変更は除き)予め公安委員会の承認を受けなければならない」としています。

この中で「その他の変更」の意味するところはいわゆる「改造」でして警察庁の解釈基準では、「遊技くぎの変更」は「遊技機の部品でその変更が遊技機の性能に影響を及ぼすおそれがあるもの」としてその角度を変更することを禁じています。仮にこれを破った場合不正改造にあたり「一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金」に課されることになります。これが「パチンコホールが釘をいじくってはいけない」という常識の根拠となっている条項です。ただ実際のところこれはあくまで「釘を勝手にいじくってはいけない」としているにすぎない条項です。

第二十条十項では一方で読み替えて準用する第九条二項で「第四条第四項の基準に該当せず、かつ、第三条第二項の規定により公安委員会が付した条件に適合していると認めるときは、前項の承認をしなければならない。」としています。「第四条四項の基準=射幸性基準(著しく客の射幸心をそそるおそれがあるものとして国家公安委員会規則で定める基準)」ですから、ホールは射幸性基準に違反しない限りはきちんと承認申請さえすれば釘を自由に調整していいことになります。

これを概念的にまとめると以下の図のようになります。

4-4

なお警察庁の基準によると検定機種の遊技機くぎに関する変更承認申請の目安となる処理期間は「12日以内で各都道府県警察が定める」ものとされています。なので実務的にはホールはちゃんと申請さえすれば、射幸性基準に違反しない範囲で釘をいじくっても合法な「はず」なんですよね。審査期間が2週間弱の「はず」ですから、月に二回程度は釘をいじくれる「はず」ということになります。

それにも拘わらずなぜ「釘はいじってはいけない」という認識がホール業界に広がったかというと、そもそも個別の遊技機が射幸性基準に違反しているか違反していないか簡単に警察の現場が判断することが出来ない、というやや情けない事情があります。警察はパチンコ業界に対して影響力を行使するために釘調整に関して意図的に歪んだ認識を広めた節があり、やむを得ない事情があると言えど、これに関する責任は重いものがあります。

こうした現状に関する解決策は「個別の遊技機にモニタリングメーターを付ければいい」というとても簡単なことで、わざわざ封入釘方式などにしなくてもいいわけですが、この辺に関してはまた後日まとめたいと思います。

そんなわけで業界は封入釘の議論を持ち出して警察や政治家を脅すようなことはせずに、粛々と現行制度のマイナーチェンジの範囲の中で健全化に取り組んでいただき、一方でギャンブル依存症対策に取り組んでいただければと思っております。

ではでは今回はこの辺で。


編集部より:このブログは「宇佐美典也のblog」2016年1月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は宇佐美典也のblogをご覧ください。


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