個人投資家の資産運用にも「ALM」という視点が大切 --- 内藤 忍

2016年01月17日 15:30

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お金との付き合い方で大切なことは、自分が保有している資産全体を俯瞰して、アセットアロケーションすることです。しかし、保有している資産をどう配分するかというバランスシートの左側(資産)だけではなく、バランスシートの右側(負債)のことも考えれば更に進化した投資をすることができます。

お金(資本)を1000万円持っている人が1000万円をそのまま投資するのではなく、図のように500万円の借入を行い、1500万円の資産配分を考える。このように、資産だけではなく借入(負債)をどうするかも合わせて考えれば「アセットマネジメント」が「ALM運用」に進化します。

借入(レバレッジ)はFXや株式の信用取引のような金融資産でも可能ですが、変動率が大きく短期的なリスクコントロールが難しいのが現実です。やはり、国内の不動産を担保にした借入がメインになります。

資産と負債を両建てにすると、通貨配分としての比率は2つの差額になります。例の場合だと、1000万円の円資産を500万円の借入で保有していますから、円資産としては実質500万円ということになります(不動産のリスクは1000万円あります)。そして残りの500万円を外貨資産に投資すれば、通貨配分としては、円と外貨が50%ずつということにできるのです。

例えば、国内の不動産には投資したいけど、円資産を増やすのはあまり望ましくないと思っている人は、円の借入をすることで通貨としての円の比率を下げることができます。

現在の円の借入金利は、不動産投資用のローンでも1%台で借りられます(金融機関の審査はあります)。不動産の賃貸利回りが5%台としても4%近い金利差(イールドギャップ)を享受することもできます。変動金利の場合、将来の金利の上昇リスクはあります。しかし、毎月の返済さえしていれば、FXのように資産価格の変動で強制ロスカットされたり、信用取引のように追証を求められることもありません。

逆に、もし借入をしなければ、円資産として投資できるのは500万円に限定され、金利差による収益も得ることはできません。

「借金=悪」という思い込みを持っている人には受け入れられない発想かもしれませんが、借入をすることは将来のインフレに対するリスクヘッジにもなります。メリットとデメリットを良く考えて、自分がベストだと思う借入比率を決めれば良いのです。最初から完全排除するのは自らの投資の可能性を狭めることになります。

持っているお金をどう投資するかという資産運用(アセットマネジメント)の視点を、借入(ライアビリティ)も含めて考える「ALM運用」(ALM=アセットライアビリティマネジメント)まで高める。バランスシートの左側と同じくらい右側の管理が重要なことを多くの投資家に気づいて欲しいと思っています。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年1月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。


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