中国人観光客の激増でタイが様変わり --- 鈴木 健介

2016年01月28日 06:00

前回の長旅で、タイに半年ほど滞在した。その半分の期間を、北部の古都チェンマイでコンドミニアムを借りて過ごした。1ヶ月以上の滞在なら、ゲストハウスに泊まるよりもコンドミニアムを借りた方がはるかに安上がりだ。

タイ、とりわけチェンマイには中国人観光客が激増していた。10年前ならタイで中国人観光客を見かけることなど皆無だったのだが、今では観光客の半分以上が中国人だ。

中国人観光客の激増で、タイの何が変わったのか? その悪名高いマナーの悪さはもちろん問題なのだが、より問題だと思うことがある。

1、現地経済が中国化する。
2、中国人以外の観光客が離れる。
3、日本人にとって悪影響を及ぼす。

1、特に土産物屋などが、中国人の好みに合わせて販売する品物を変えた。一昔前は日本人や白人が好むようなアジアンテイストな色調、デザインが多かったのだが、今では中国人が好む極彩色の雑貨衣類に宝石や貴金属など、とにかく派手になった。「コンニチハ」と話しかけてきたタイ人が「ニイハオ」になり、 漢字表記の看板が溢れるようになった。そして、中国人相手の華僑・華人が増える。彼らは中国人相手の商売を熟知しているので、より経済力をつけることになる。このままでは現地の中華街がより増えていくことだろう。

2、激増する中国人観光客に嫌気がさしたのだろうか、白人観光客が激減した。日本人は経済的な理由や内向き志向などもあり圧倒的に減った。白人、日本人観光客に期待できない観光業は、ますます中国人観光客に頼る。それによって白人、日本人はますます離れる。

3、中国人(小中華思想の韓国人も)観光客はタイで嫌われている。私はタイへ10回以上旅してきたが、今回初めてタイ人に無視されるという経験をした。それ以外にも嫌な思いが何度かあった。こんなことはタイでは初めてのことだ。その原因を、原色のタンクトップに短パン、ボサボサ髪という、まるで中国人そっくりな私の身なりにあると思い、急遽、服装を変えた。「JAPAN」と大きく書いてあるTシャツとお洒落な帽子を購入し、日本人っぽい見た目にしたところ、タイ人の対応が今までとまるで違う。私は「サワディーカップ」と挨拶する時に必ず「こんにちは」と日本語をつけ加えて、笑顔で話しかけることにした。日本人だとアピールすることで、今までの楽しかったタイでの旅が、また戻ってきた。タイは親日なのである。

これは大きな問題だと思う。

中国人観光客のマナーの悪さは、まだあくまで民間人の問題で、それは嫌われる程度で済んでいることだが、拡大する中国政府の政策が反中感情に影響し始めたらどうだろう? 現にベトナムと中国が南沙諸島で軍事衝突した時、ベトナムで華僑を狙った暴動がおきて、何人もの華僑が殺された。この時、中国人と顔と言葉が似ている台湾人は、ベトナム政府から「私は台湾人です」と書いたTシャツを配られたという。

現在の中国政府は、アフリカ・中近東への影響力を拡大し続けている。アフリカで資源を収奪し、中近東でイスラム問題に首を突っ込むことは、民間に続き政治で反中を促進しかねない。

中近東で対米感情が劇的に悪化した911同時多発テロ以前においてさえも、アメリカ人に間違われたくない海外を旅するカナダ人、オーストラリア人などは、リュックや衣類に国旗(赤いカエデのマークなど)を貼り付け、自分がアメリカ人ではないことをアピールしていた。

それと同じように、世界各地で日本人は日本人だとわかる服装やマークをしたほうがいい場面が、これから数多くやってくると思う。日本人だとアピールすることで、現地人の態度がまるで変わる場合がある。

これから中国人が、中国政府が世界に与えていく影響は、日本人である我々にも大いに関係してくるのである。

鈴木 健介

バックパッカー。訪問42ヶ国。
音楽家。休止中。CD「善悪無記の形相」「ドクサ」発売中。
早大卒。

旅での思索を書いた日記、「けんすけのこばなし」より
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