清原和博はどこで道を誤ったのか

2016年02月03日 07:00

kiyohara
▲波紋必至の清原容疑者の逮捕(公式ブログより)


どうも新田です。“センテンススプリング”の勢いが止まりません。一昨年3月に同誌が薬物疑惑を報じて以来、もしかして…思われていた清原和博容疑者ですが、とうとう御用になってしまいました。

元プロ野球選手の清原容疑者逮捕 覚せい剤取締法違反の疑い
東京都港区の自宅マンションで覚せい剤を所持していたとして、警視庁は2日、覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで、元プロ野球選手の清原和博容疑者(48)を現行犯逮捕した。警視庁によると、清原容疑者は「覚せい剤は私のものに間違いありません」と容疑を認めている。(共同通信2016年2月3日 01時09分)

かつて短い間、プロ野球を取材した者として…いや、子供時代からの野球ファンとして、ほぼリアルタイムで西武の黄金時代から長渕さんの「とんぼ」で見送られる引退試合までを見てきただけに、想定内の事態ではありますけれど、改めて残念です。

ホントにスゴイ選手だった


反面、いまの10代、20代の人にとっての清原容疑者といえば、コマーシャルでローラから「お兄ちゃん」呼ばわりされている、元大物プロ野球選手の肩書きを持った微妙にイタい感じのタレントというイメージが強いかもしれません。

彼がどれだけすごい選手だったのか、若い人のために振り返りましょう。ある年の打撃三部門の成績がこれ。打率.304 本塁打31 打点78---打者として一流に認められる打率3割をマークし、30本ものホームランを放つ長打力を兼ね備えるなんて、ここ10 年近くのロッテにも見当たらないすごい成績です。では、これがプロ入り何年目の成績かと尋ねられれば、いまの野球しか知らないファンなら「5年目」とか答えてしまうかもしれない。いやいや、驚くなかれ(年配の方は知ってるけど)、これは高卒1年目(1986年)の成績。31本塁打は今でも破られていない新人シーズン最多タイ記録です(高卒では最多)。

昔のことといっても80年代当時のプロとアマの実力差は現代と同じように決定的に開いていましたし、ましてや甲子園のスターといっても、高校レベルとは投手の球速、変化球の切れが違いすぎる中で、いきなりこの成績を残すとは当時誰も予測していなかったと思います(うろ覚えながら、評論家時代の野村克也さんが週刊誌の連載で開幕前に「清原の1年目は打率2割5分、20本」と確か予想していました)。

「ONの後継者」との期待が…


さすがに、これだけの成績を1年目から残しますので、周囲の期待も尋常ではありません。その頃のプロ野球はまだ王さん、長嶋さんが引退して何年。有望株が出てくると周囲からONの残像と比較される時代でした。2年前に、NHK-BSで大河ドラマ「独眼竜政宗」(1987年)の再放送を見ていたら、ドラマ本編前の解説コーナーで、秀吉と政宗の世代の差をわかりやすく例示するために、ONと清原が引き合いにされており、「ああ、あの頃の清原さんって、ONの後継者として世間に期待されていたのね」と痛感したものです。たしかに入団5年目の頃までの本塁打数は王さんの同時期を上回っていて、野球ファンやメディアに「もしかしたら、王さんの通算本塁打868本の世界記録超えもいけるのでは?」と夢を見させてくれたものでした。

しかし、清原和博はその後、巨人に行ってから年を追うごとに数字が下降トレンドになったのはご承知の通り。868本は遠く及ばず、通算本塁打数525本。といっても歴代5位の殿堂入りクラスの超一流の数字なんですが、打撃三部門では三冠王どころか、どのタイトルも一度として縁がなく「無冠の帝王」と揶揄されてしまい、「もったいなかった」というイメージがつきまとう象徴なのでしょう。割と入団当初から所沢の選手寮を夜中に抜け出してバブル期の六本木をブイブイ言わせていた伝説とか、プライベートの不摂生も祟ったという見方もあります。

落合さんの“アノ助言”を聞いていれば…


まあ、それもまた、清原和博という野球選手が毀誉褒貶に満ち溢れた生き様だったのかもしれませんが、何度か選手として、そして社会人としてターニングポイントはあったはず。いま思い返してみると、一番の分岐点は結婚が遅かったことではないでしょうか。一昨年、離婚されたモデルさんとは初婚でしたが、彼女と入籍したのは巨人移籍後の2000年。つまり33歳になる年で、高卒1年目からスターとして活躍してきた野球選手としては「晩婚」と評価してもいい。まあ、あれだけのクラスの選手でしたから、過去にも入籍はしないで陰ながら支えていた内縁の妻的な女性がいたのかもしれませんが、マー君を支えている里田まいさんの貢献でもおなじみのように、野球選手という「事業体」においては、奥様というのは食事をはじめとする生活管理、悩みを聞いてくれるビジネスパートナーとしても極めて重要な存在です。

いま手元に資料がないので、細いところの齟齬があったら後で訂正しますが、実は、清原選手が入団2、3年目の頃、メディアの企画で落合さんと対談した際に「早く結婚しろ」「結婚すると、1打席1打席が無駄にしなくなる」と勧められていたのを覚えています。まあ、落合さんの奥様といえばアレなイメージをお持ちの方も多いですし、それなりの伝説もいろいろございますが、夫に三冠王を3度取らせた「内助の功」の実績は間違いありません。

清原容疑者が巨人入りした後に不振が続いていた時、落合さんの「結婚のススメ」を若い時分に受け入れなかった“ツケ”が出ているなあと、何度も思い返したものですが、野球選手としての世界的な記録だけでなく、社会的な信用も全て失ってしまったのかと思うと、野球ファンとして一抹の寂しさ、人生の選択の重み、を感じてしまいます。

ではでは。


新田 哲史
アゴラ編集長/ソーシャルアナリスト
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新田 哲史
アゴラ編集長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事/ソーシャルアナリスト/企業広報アドバイザー

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