銀行預金の金利もマイナスになるの?

2016年02月03日 13:10


日本銀行のマイナス金利はみなさんの預金とは関係ありませんが、一部の銀行は企業の普通預金から手数料をとり、実質マイナスにすることを検討しているようです。そのうちみなさんが銀行に預けている普通預金の金利もマイナスになり、定期預金はゼロという時代が来るかもしれません。

金利がマイナスになるというのは奇妙な感じがするかもしれませんが、これはそれほどおかしな話ではありません。市場に出る通貨の量(マネーストック)は日銀の発行するお金(マネタリーベース)ではなく金利で決まるというのが、現在のマクロ経済学の標準的な考え方です。今は長期金利も実質マイナスですから、名目金利をマイナスにすることはおかしくありません。

むしろゼロ金利でマネタリーベースを増やしたらマネーストックが増えるという黒田日銀総裁の話のほうが、理論的にはナンセンスです。金利というのはお金の値段ですから、それがゼロになったのは供給が需要を上回っているということで、いくら供給を増やしても需要は増えません。

金利をマイナスにすべきだという理論は昔からあり、ヨーロッパではすでに行われています。ただ問題は、中央銀行の当座預金の金利をマイナスにすると、銀行の収益が悪化し、預金金利もマイナスになると預金者が反発することです。銀行にとっても、預金者を追い出すようなことはできないでしょう。

しかし日本の金融資産の半分以上は銀行預金で、これは先進国では異例に多いので、これを減らして株式や投資信託などを買ってもらう営業をすれば、銀行グループにとっては意外にいいかもしれません。

ただ問題はその株価が下がっていることで、日本経済の実体をよくしないで日銀だけで景気をよくすることはできないのです。もともと黒田さんの「量的・質的緩和」は短期決戦のショック療法だったので、それが失敗した今となっては、マイナス金利は撤退戦の第一歩でしょう。

そんなわけで、みなさんの預金金利もそのうちマイナスになるかもしれませんが、銀行から引き出してタンスにしまったりしないで、これを機会に投資信託や外貨に投資するなど、ポートフォリオ(資産の組み合わせ)をもっと合理的に組み替えてはどうでしょうか。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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