ビジネスの創造には、まず「夢を抱く」

「低迷続くVAIO 創業者の言葉に立ち返るべき」(15年4月3日)という見出しのBLOGOS記事では、次の言葉がその結語に用いられています--ソニーの創業者である盛田昭夫氏は、「ビジネスには3つの創造力が必要だ」と説いた。まず「元となる技術」、次に「その技術を使ってどんな製品をつくるか」、そして最後に「つくった製品の便利さをアピールして新しい市場をつくり出すこと」。


之に関し私見を申し上げるとすれば、先ずは此の順番について「元となる技術」が第一に、次に「その技術を使ってどんな製品をつくるか」が挙げられているのは、違うのではないかと思います。

昔から「必要は発明の母」と言われますが、先ずは鳥が飛んでいるのを見ては、「私も空を飛んでみたい」とドリーム(dream:夢)を持つことが第一です。そこから「では、どんな技術が必要なんだ?」と必死に考えに考えた末、新しい発明発見が生まれる部分がかなりあるのではないでしょうか。

鳥が羽を一生懸命バタバタさせているのを見ては、羽を動かすようしたら良いのではと考えてバタバタ動くものを作ってみるというわけです。そしてその後、空気抵抗を上手く利用したら良いのでは等々と考え抜き改良に改良を重ねて行く中で、そこに技術が生まれ知恵が生まれてくるものだというふうに思います。

あるいは「魚は此の大きな海を自由に泳ぎ回っているのに、なぜ人間は此の小さな陸の上だけなのか。私も海に出てみたい」と夢を抱くのです。取り分け四海に囲まれた日本という島国では、そうした感が強くありましょう。

筏(いかだ)に始まって船に至るまで、その全ては技術というよりも「こういうものがあれば便利だ」「こういうものがあったらなぁ」という感情が、私は出発点ではないかと思います。

そしてその感情は、世界中の多くの人に共通のものであります。ですから、飛びたいならばグライダーを作って挑戦しようと発想したライト兄弟をに見ても、飛行機を発明したと言ったらば結果としてそれは世界的需要ということになったのです。

これまでの人類の発明発見というのは、やはり「〇〇をしたい」という感情が出発点であるような気がします。そしてその必要性がため、考えに考えた末ふっと閃き、それをヒントにして、また考え抜いて目標を達成して行くのです。科学のみならず、ビジネスの創造も、そうした発明発見の繰り返しによって進歩して行くものなのではないでしょうか。

最後に吉田松陰の言葉を紹介しておきます。
夢なき者に理想なし、
理想なき者に計画なし、
計画なき者に実行なし、
実行なき者に成功なし。
故に、夢なき者に成功なし。

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